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「……こんなん見るとまた一年終わるんやなって思ってまうよな。」
『そうですね、いくら栄えてる方じゃないって言ったってこんなに人おらんなんて。』
「ベッドタウンのはずなんやけどなあ。……夜遅いし、みんな家族と過ごしたりしてんのかなあ。」
堂前さんの口から溢れ出た、家族という言葉に一瞬だけ気を取られながらも、会話のリズムを乱さないように相槌を打つ。
「実家とか帰らんとやっぱあれよな、置いて行かれたような感じするよな。」
帰らんって決めたのは自分やのに、という堂前さんの声が寒空に消えていく。帰る方が大変だから、忙しいから、……今戻っても同じ決断をするだろうに、都合よく寂しがってみたりして、そうやってまた一年が終わっていくんだろうなあ、とここ数年のたった1人のお正月を振り返りながら思った。
『堂前さん、年末年始忙しそうですよね、すごく。』
「まあありがたいことにな。」
『お疲れ様です。……大変そうではありますけど、楽しそうですよね、すごく。』
「おう、楽しいで。」
堂前さんはそう言って笑った。
そういえば出会ったばかりの頃、自分がしたことで誰かが笑ってくれると思ったら頑張れる、なんて言ってたなあと思い出す。あれから半年も経っていないんだなあ、と一丁前に回顧して、堂前さんの方を見た。
「なんや、そんな見て。」
私の視線に気づいた堂前さんは楽しそうに言った。いえ、別に何ともないです、としか返せない自分に嫌気が差す。
「なあ……。あそこのコンビニでお酒でも買って公園で飲もうや、ちょっと。」
『なかなか良い提案しますね、』
「やろ。」
じゃあ決まりやな、と言ってすたすたと歩き始める。心なしか歩くペースが速まったような気がして、慌てて後を追いかけた。
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雨 - とっても素敵な作品で、何回も読み返してます！！これからも楽しみにしております😌😌 (2023年2月3日 3時) (
レス) @page28 id: 9fa3a51cd4 (このIDを非表示/違反報告)
紫音(プロフ) - 堂前さんとの物語更新される度に見させてもらってます。これからも楽しみにしてます😊 (2023年1月4日 23時) (レス) @page22 id: ed97066529 (このIDを非表示/違反報告)
ワカ(プロフ) - ほんと大好きな作品。いつもお疲れ様です！更新待ってます！ (2022年12月24日 14時) (レス) @page16 id: 1bc0632cd6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あこ | 作成日時：2022年12月10日 0時
