41、高揚 ページ48
Aside
夜ご飯も食べ終わり、みんなとワイワイしていれば、グルッペンさんがバァン!と食堂の扉を盛大に開く。
その後ろからたくさんの書類を持って入ってくる。
「大事な話をしたいと思う、座って欲しい」
落ち着き払った、しかしどこか興奮気味の彼が誕生日席に腰を下ろして声たかだかに言う。
その威圧に、私は思わず近くの椅子に座り、グルッペンさんの方を見る。
甘いものが好きで、書類から逃げることを最優先にしている姿しか見たことがなかったが、今の彼は完全に総統様だった。
「…上手く話せんトン氏言え。」
「えぇうそぉ…」
…やっぱりグルッペンさんはグルッペンさんだ。
「うーん…単刀直入に言う。明日の朝、ニスタ王国に戦争の旨をまとめた手紙を送り付ける。ようするに戦争や。」
戦争、やはり、王国にいれば避けては通れない道だ。
そのトントンさんの声を聞いた瞬間、皆が少しざわめく。
「…ニスタ王国、って、Aのいた所、やろ?」「ええんか、?Aの、心情を聞いた方がええんとちゃう?」
…確かに、相手は私のいた国で、親も姉もいる。
「…その点については、Aの意見を最優先として動こうと思うとる。Aはどうしたい?」
グルッペンさんの鋭く、しかし慈愛の籠った眼差し。
きっと彼らは、他の目的もあるだろうが、少なからず私の報復として戦争を提示してくれたのだろう。
親と姉を憎む私が、断る理由など何一つなかった。
『…ひとつだけ、お願いがあるんです。
前線じゃなくてもいい、私も戦わせてほしいです。』
トントンさんの顔を見て、グルッペンさんの顔を見て、そして皆の顔を見てはっきりと言う。
みんなは顔を見合せた後、すごく嬉しそうに私に抱きついてくる。
「もちろんやんけ!!!」「危ない所には行かせんからな!?」「憎しい親たちを倒したいんよな、」
皆が私を受け入れて、愛してくれているのが強くわかって、泣きそうになる。
『…皆さんの力を貸してください。
…あいつらを潰すために』
私がにっこりと笑えば、皆は何故か冷や汗を垂らしたのだった。
(…めちゃくちゃ闇のある笑顔やったな)
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雲雀(プロフ) - わらび餅ィさん» なんとも嬉しい言葉…!これからも頑張ります!! (2020年11月28日 18時) (レス) id: 4aed07b718 (このIDを非表示/違反報告)
わらび餅ィ(プロフ) - 雲雀さん» こう言う系あまり読まないからどうだろうとか思ってた自分を殴りたいくらい面白いので頑張ってください! (2020年11月28日 14時) (レス) id: a2949d225d (このIDを非表示/違反報告)
雲雀(プロフ) - わらび餅ィさん» わらび餅さん、返信遅れてしまい申し訳ございません!はわ〜!!ありがとうございます!!これからもどうぞよろしくお願いします!!面白いお話を皆さんに届けられるよう頑張ります!! (2020年11月28日 14時) (レス) id: 4aed07b718 (このIDを非表示/違反報告)
わらび餅ィ(プロフ) - こんばんは!物語面白いからいつも読ませて貰ってます!ランキング1位おめでとう御座います! (2020年11月25日 18時) (レス) id: 41f911fbc7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雲雀 | 作成日時:2020年11月21日 1時