【2434】天使さん家の女の子2【kne】

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不破さんの家を出てから家に着くまで、随分と長い時間だった
正しくはそう感じただけなのだが。


「お風呂入る？ご飯食べる？」

「んーーぅ、」

叶さんにどちらとも言わず、意味の無い声を漏らす
気分は未だ晴れないままで、まだ答えを探していた



「……不破くんと、なんかあった？」

「…少しだけですけど、」

果たして、人の告白を少しと言ってしまっていいのか
特に隠す意味もないのに曖昧な返事をした

「何があったの？ちゃんと話して？」

「べつに、叶さんには関係ないですよ。ご飯はいらないです、すみません」

少し冷たい言い方になってしまったが、事実として叶さんには関係ないし、きっとこれは不破さんと私の心の内で進んでいくべきことだ
そうしてリビングを出ていこうとすると、強く手首を掴まれる。他でもない、叶さんに。
凛とした視線が真っ直ぐ突き刺さる


「…そんな顔しないでよ」

眉がぐわんと下がって、瞳も心配そうに揺れる
私は眉を顰め、潤う目に必死に耐えていた

「だってぇ…っ」

「大丈夫だから、ね。お話しよう？」

小さい子をあやすような口調にちょっとだけムカついたけど、今はそれを怒る気力すら無かった
揺籃のように腕の中で揺られ、ぼろぼろと涙が落ちる

叶さんの前で泣くの、これで2回目だ。短期間で泣きすぎじゃないか私。




蛇口が壊れた感情みたいに、涙まで溢れ出していた


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