. ページ20
.
最寄りの駅の改札を出て一息つくと、
視界に入ってきたのは久々に見る彼の姿だった。
「樹......? 」
紛れもなく樹だ。
そもそも私が見間違うはずが無かった。
久しぶりに見た彼は前に会っていた時よりもちょっと痩せていた気がした。
どうしてなのかわからないけど胸がギュッと締め付けられている。
それと同時にやっぱり私はまだ樹を完全に吹っ切れていないと自覚した。
でもどうしてこの駅に樹がいるの?
なんで?
そんな事を考えながら、ただその場に立ち尽くすことしか出来ない。
こっちに気付きパッチリと目が合った瞬間、
彼は軽く片手を上げてニコッと微笑んだ。
私の方に歩いてくると特に何の緊張もなさそうに「久しぶり」と一言、声をかけてきた樹。
「あっ....うん。久しぶり」
どう返すべきなのか分からない。
だってかれこれ約3ヶ月振りの再会だ。
ここ3ヶ月は樹と会わなくても何とかやってこれていた。
と言っても、簡単な仕事ですら手が付けられないほど重症だったこともあったけど松村とか森本くんに助けられて色々あったけど順調にいっていたはずだった。
それなのに会ったらこのザマだ。
もう私は既に彼と初めて出逢った頃のように心が揺れている。
会ってしまったら離れられなくなる感情を覚えていたからずっと会うのが怖かった。
だから会うことを拒んでいたのに。
.
1544人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
つくね(プロフ) - 榛名さん» コメントありがとうございます。段々と松村が行動していくので楽しみに待って頂けると光栄です! (2021年10月31日 0時) (レス) id: a9a3fb45a1 (このIDを非表示/違反報告)
榛名 - 松村との恋の行方も気になるけど全裸待機します!!!、 (2021年10月28日 23時) (レス) @page24 id: ec0e9967f1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:つくね | 作成日時:2021年10月14日 0時