50.リスみたい ページ1
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「よしっ、できた！」
出来上がった料理を机の上に並べて全体を眺めてみる。
うん、見栄えはカンペキ。
結局あれだけ私に手伝わせるのを嫌そうにしていた松村さんは何もすることなく、ただ横で私の作ってる姿を無言で見ているだけだった。
少しは手伝ってよ、とは思ったけどこれを言えなかった私が悪いのか…？
そんなことをぼんやりと考えていると、
いつの間にか席に着いていた松村さんが
手を合わせて「いただきます」と呟く。
あれ、なんか意外…。
松村さんって"いただきます"とかちゃんと言う人なんだ。
「…うま、」
目をキラキラさせながら
まるでリスかのように口に沢山頬張る松村さん。
「本当ですか？！良かったー」
そうホッと安心したのと、
ご飯を美味しそうに食べる松村さんの姿を見ていると思わず頬が緩む。
「なに？」
そんな私の気付いてはぶっきらぼうな口調。
「いや、松村さんってご飯を美味しそうに食べるなぁって」
「俺が作ったからな」
「ちょっと、嘘を言わないで下さいよー！中盤はほとんど松村さん何もしないで私に作らせてたじゃないですか！」
「グダグダうるせー奴だな」
そう言ってモグモグとご飯を食べる松村さん。
でもこんなに美味しそうに食べてくれるなんて思わなかったから正直嬉しいかも。
「座ったら？」
「…えっ？」
ちらっと私を見て箸を止めると
きんぴらごぼうが入ったお皿を机の真ん中の方に寄せた。
「立ってると気が散る」
「それって...もしかして私も一緒に食べてもいいって事ですか？」
「別に食べるのに許可いらねーだろ」
面倒くさそうに言うけど、
どうやら恥ずかしいのか彼の耳がほんのり赤くなってる。
この男はギャップ萌えでも狙ってるのか？
なんて思いながら私は彼の目の前の椅子に腰掛けた。
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作者名：つくね
| 作成日時：2021年6月4日 21時
