49.負けず嫌い ページ49
.
年明け2日目。
午前中に初詣にだけ行ってその後何処にも寄ることなく家に帰ってきては家でのんびり過ごしていた。
「松村さん、料理出来るんですか？」
台所にいた松村さんに話しかけてみる。
一瞬だけ私の方を見たけど質問には一切答えてくれず、黙々と携帯の画面を見ている彼はそのまま無視して料理を作り始める。
この時間だから、夕飯でもつくるのかな？
「あっ…、危ないですよ！」
彼の腕を咄嗟に掴んでしまった。
あと少しで包丁で手を切っちゃいそうだったし、
危なかったからつい...。
お節介だと思われるかもしれないんだけどこれは仕方ないよね。
「分かってるって」
若干ムキになってる松村さん。
この感じは人にどうこう言われるのが苦手なんだろうな。
「松村さんって子供みたいですよね」
「…なに、やんのかお前」
「ふふ」
子供みたいに拗ねた顔が新鮮で面白くて思わず声に出して笑っていると松村さんが私のほっぺをつねってくる。
「い、ひゃい…ですよ」
痛がってる私を見て彼はニヤッと嬉しそうな顔。
やっぱり松村さんは悪魔だ、ドSだ。
私が松村さんの手をペチペチと叩くと
意外にもすんなりと離してくれて、何事も無かったかのように料理を作り始める。
いや、切り替えの速さよ。
「私も何か手伝いましょうか？」
「いらない」
料理は人に手伝わせたくないんだろうか。
それか、ただ単に負けず嫌いなのかな。
「あの…私、料理は得意な方なんで役にはたてると思いますよ！」
料理だけは人並以上に作れる自信がある。
元彼にもご飯は美味しいって言われていたし、
そもそも結婚を考えていた人だったから必死で料理の腕を上げようって頑張ったんだよね、私。
思い返すと悲しくなってくるけど…
「そのドヤ顔ムカつくな」
「松村さんにだけしかしてないのでご心配なく」
「…お前な」
「ほら、いいから一緒に作りましょ！」
よく分からないけど彼には上からこう話せるようになってるんだよね。
彼の性格を知ってきたからなのかな？
このツッコミあえる関係性が気楽だっていうのもあるのかもしれないけど。
「それより何を作ろうとしてたんですか？」
「味噌汁ときんぴらごぼう」
味噌汁ときんぴらごぼう……。
確かに松村さんがそれを食べているのは想像出来るかもしれない。
和食とか似合いそうだもん、松村さんって。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1120人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：つくね
| 作成日時：2021年5月26日 15時
