39.饒舌な彼。 ページ39
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あれから再放送していたドラマを最後まで京本さんと一緒に見た。
やっぱり面白かったなーと余韻に浸っていると京本さんの視線を感じたから「どうしました？」って聞いてみる。
「俺、あんなにテレビに夢中になって唇尖らす人を見るの初めて見たかも」
「ええっ！私そんな尖らせてましたか？」
「うん」
なんだか嬉しそうに目を細めて笑う京本さん。
何かに集中すると唇を尖らす癖があると過去に友達や家族には言われたことがあったっけ？
でもやっぱりこう知らない間に見られたって思うと恥ずかしさが増す。
「気付いてたんなら言ってくださいよ！」
「いいじゃん。可愛いんだから」
「か、可愛い？」
「うん、可愛いよ」
い、今…サラッと可愛いとか言ったよね？
しかも2回も！
自分でも顔が熱くなるのが分かる。
京本さんの発する一言だけでこんなに恥ずかしくなるなんて…
目線も合わせれないくらい胸がきゅーっと締めつけられるように苦しくなって息できない。
っていう状況なのに京本さんはこっちの気も知らず「まだ時間ある？あったら俺のオススメ映画一緒に見ない？」って聞いてくるもんだから頷く事しか出来なかった。
あ、でもオススメってことは…、
京本さんの好きな映画ってことになるのかな。
なにそれ、ちょっと気になる。
いや結構気になってるかも。
するとすぐに京本さんがオススメだというDVDを部屋から持ってきてはテレビにセットし始める。
「映画お好きなんですか？」
「んーわりと？」
「そうなんですね…」
「俺ねー、好きな物にはとことんハマっちゃうタイプの人間だからDVDに限らず食べ物も服も我慢しないで衝動買いしちゃうんだよね」
そう言いながら饒舌になっている彼を見て段々と面白くなってくる。
面白いというより、なんて言えばいいのかな、
その必死感が可愛らしいというか。
普段そんなに口数が多いタイプでも無さそうだから余計に可愛らしく見える。
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作者名：つくね
| 作成日時：2021年5月26日 15時
