24.ねぇ、誘ってんの？ ページ24
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「もうムリ...」
1団が大きい豆大福10団入りのうち、
6団は私が食べてしまってた。
よく食べんね、そんな豆大福好きなの？
って田中さんには笑われたけど
そりゃ好きだから気にせず無我夢中に食べた。
案の定、食べすぎた私のお腹は限界突破しているわけで。
因みに田中さんは1団だけしか食べてなかった。
彼から食べようって誘ってくれたのは自分があんまり食べれないからか、と納得をする。
見た目からして田中さんって少食そうだもんね。
見てる限り私より絶対に細い。
いいなぁ、細くて。
って私は呑気なこと思ってる場合じゃない。
ダイエットしなきゃ、
ぽっこりと出てるお腹を見てそう決意した。
時刻は23時過ぎ。
そろそろ部屋に戻ろうと立ち上がると足が痺れてしまって歩けなかった。
それに気づいた田中さんが
「こっち座りなよ」ってベットをポンポンっとしてくれたから何も考えず隣に腰掛ける。
「あ、豆大福ご馳走様でした」
私がそう声掛けても田中さんは無反応で
目線だけが重なった。
透き通った目してる。
「ねぇ、誘ってんの？」
「...えっ」
「駄目だよ。簡単に男の部屋のベットに座ったりしたら」
そう彼が言った瞬間、
ベットに勢い良く押し倒される。
ビックリして固まっている私の顔を見ては満足そうにしてる彼。
今、視界に見えているのは
天井と色気が溢れる田中さんだけ。
彼の付けているネックレスが垂れ下がってきて私の顔近くでユラユラと揺れた。
それとほんのり香るタバコと香水、
この匂いが逆に私を冷静にさせてくれた。
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「逃げないの？」
「だって田中さん、私の事好きじゃないですよね」
「あのねーオトコっていうのは好きなオンナじゃなくても抱けるんだよ？」
感情がこもってない呪文を唱えるようにスラスラと言葉を並べては悲しそうな目。
「でも田中さんは私にはしないですよ」
私がそう言うと田中さんは眉毛をピクっと動かして
覆い被さるのをやめて立ち上がった。
「Aって、もしかしてバカ？」
「それはよく言われます」
「んははは、だよなぁ」
何がおかしいのか分からないけど田中さんは肩を震わせて笑ってる。
ほらね、やっぱり田中さんは私の事なんか興味無い。
だって彼には想い人がいる気がする。
女の勘ってやつ？
人より特別に勘が冴えてることはないけどきっとそうなんだろうな。
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作者名：つくね
| 作成日時：2021年5月26日 15時
