16.憧れのオフィス ページ16
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「ほら、Aちゃん行くよ」
「う、うん」
慎ちゃんに手を引かれながら彼の働いているという職場に入り込む。
ダメ女卒業宣言、
とか言っときながら既に逃げ出したくなってる。
ここ、異世界すぎるんだもん。
慎ちゃんはアルバイトだから軽く手伝ってるだけだって言っていたけどそれが出来ること自体凄い。
だってどこを見渡しても仕事が出来そうな人達で溢れ返っていて、
学生の頃から都会のオフィスで働くのは憧れだったりしたからその空気感を味わえているだけで感動してしまう。
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「あーいたいた、櫻井さーん！」
少し前を歩く慎ちゃんがいきなり
大きな声で叫びながら手を振った。
その大きい声に反応して
近くにいた人達がチラチラとこっちを見てザワザワし始める。
何か、気まずい....
慎ちゃんは全然気にしてなさそうだけど。
「森本くん、隣会議中なんだからもう少しだけ静かに」
「あ、すみません。気を付けます！
それでいきなり来てあれなんですけど、
この子が仕事探してるみたいなんで櫻井さんどうにかお願い出来ませんか？」
「どうにかって....」
そう呟いて私の方を見ると悩んでいる表情。
ほら、やっぱりめちゃめちゃ戸惑ってる。
そりゃいきなり言われたら戸惑うよね。
慎ちゃんの唐突すぎる言動にハラハラする。
仲の良い先輩だっていう話を彼からここに来るまでの間では聞いていたけど私は当たり前だけど全く面識がないので猛緊張。
しかも凄くかっこいい人だし。
綺麗な顔をしている人って周りに同じような人しか集まらないのかな？
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「えー初めまして、企画担当の櫻井翔です。
....取り敢えず、場所を移しましょうか」
「佐藤Aと申します。はい..あの急ですが本日は宜しくお願いたします」
出来るだけ失礼がないように挨拶すると
櫻井さんが私を見て優しく微笑んだ。
行きましょうか、
と櫻井さんが部屋を案内してくれるようで
この感じだと私の為に態々時間を作って話を聞いてくれるのかな。
櫻井さん、人が良過ぎるよ。
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「それじゃ櫻井さん、後はお願いしまーす！」
「え、慎ちゃん！？」
行っちゃうの？って目線で訴えてみるけど
彼はお得意のウインクをしては口パクで
ファイトって。
ま、ここは頑張るしかないか。
心の中でそう呟き、前に歩く櫻井さんの後ろ姿に視線を向けた。
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作者名：つくね
| 作成日時：2021年5月26日 15時
