01.悲しきクリスマスイブ ページ1
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今日はクリスマスイブ。
恋人達で賑わうこの街はどうやら私には合わなかったらしい。
「ほらA、これ持ってきなさい」
「要らないってば自分で買うし」
駅のホームで母から無理やり渡された大きな紙袋。
あまりにもしつこく言ってくるもんだから仕方なく受け取ると母はそんな私をみて困った様に微笑んだ。
なんだか虚しくなる。
味方が居ないのではと感じてしまう。
「もう行くから」
「身体には気を付けて。たまには連絡しなさい」
分かったよ、またね
そう一言だけ。
私は後ろに振り返ることなく別れて新幹線の改札に入った。
そもそも怖くて振り向けなかった。
母にお礼を言える心の余裕すら今の私にはない。
周りの目がただただ痛くて
早くここから去りたかったから。
こんな事になってしまったのも結局は全部自分のせいだって分かってる。
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短大を出て地元の会社にすぐ就職した私。
大変な仕事があっても人間関係は苦労することなく平凡な生活をしていたし、
「Aのこと、愛してるよ」
なんて甘い言葉を私に言ってくれてる人がいて
これが幸せなんだなって思っていた。
私よりも年上で仕事も出来て
優しい人だったしこのまま順調に交際して結婚とかなったらいいなってなんとなく思っていた。
でもそう思っていたのは私だけ。
まさかの私がしていたその恋愛は
"不倫"だったていう残酷なオチ。
1年間付き合ってたのに何故私も気づかなかったんだろう。
付き合っていた上司に妻子持ちだって聞いた時には
吐き気がする程気持ち悪くなった。
よく私と平然と付き合えてたよね
男って怖い。
それで一気に現実に戻されたし気持ちも冷めた。
なにより奥さんの気持ちを考えると心が痛んだ。
誰が何を言ってるんだって思われるかもしれないけど本当に本当に反省した。
でもいくら反省したって自分の犯した過ちは許されることでは無い。
当たり前のように私を見る周りの目は冷たくてこのまま会社に居続けることは不可能だった。
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作者名：つくね
| 作成日時：2021年5月26日 15時
