【レイナ・トリスタ Halloween】の日常 ページ2
『なァ、何だこれは?』
カウンターの上に並べられた鮮やかな宝石の数々。店内にはそれ以上に多くの宝石が並べられているが、グレゴリーにそういう問題では無い、と怒られてしまった。
「……宝石ですが?」
けたたましく声を上げるロザリオを全く見ないまま答える。それを聞いたグレゴリーは語気をさらに強めた。
『俺言ったよなァ!? 今月ちょっとヤバいぞって! 無駄遣いするなよって!』
多少のお小言ならば我慢するが、「無駄遣い」という言い方は聞き捨てならない。
「私が付けるので無駄ではありません」
『いや何だよその女王様的思考回路はよォ! あ、違うこいつ元女王だ……』
やっと思い出したようだ。女王たる私に我慢などできるものか。美しい宝石は買い占めるに限る。宝石商が諸手を挙げて喜んでいたし、悪いことではないのだ。
「さぁ、これをお薬にしましょう。それぞれの輝きを損なわないようにしなくては……」
大きなため息が聞こえる。いつも思うが彼はどこから息を吐いているのだろうか。
『結局付けねェじゃんか……まぁ、売るからいいかァ?』
「そうですね、いざとなれば貴方を売ってはした金にします」
『そういう事じゃねェよ! あと何だはした金って! 決めつけんな! ……いや、売るなよ!?』
全くやれやれ、相変わらずうるさいアクセサリーだ。一体何をどう教育すればこうなるのやら。
宝石に魔力を込めるため、一旦グレゴリーをテーブルに置く。
「グレゴリー、手伝って下さい。そこに書いてある文字を読めばいいので」
『やだね、誰がお前の手伝いなんか……』
チェーンの部分をもって振り回した。店内は決して広くはないが、振り回すくらいの余裕はある。
『あばばばばばばばばばばばばばば』
おかしな声で叫ぶグレゴリーに再度「手伝って下さい」と問う。
『手伝いまひゅ!手伝わせてくだはい女王陛下!』
最後の「女王陛下」が気に入らなかったのでもう10秒ほど回してから机の上に置き直した。
『おえ……気持ちわりィ』
吐く口も無いのだからなんて事ないだろうに。早く読んで下さい、と急かすと読み始めた。
思ったのだが、彼の目はどこにあるのだろう。今度まとめて聞いてみるのもありかもしれない。
『えーと、アマゾナイト「穏やかな心」……これ、今のお前に必要なんじゃねェの?』
「グレゴリー観覧車、発進」
懲りない男だ。冷たい声でそう告げて、ロザリオを手に取った。
『あばばばばばばばばばばばばばばばばばばば!』
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凶暴な敵対心の塊@Armonica(プロフ) - 更新しました (2019年9月28日 13時) (レス) id: fef8d755ae (このIDを非表示/違反報告)
凶暴な敵対心の塊@Armonica(プロフ) - 参加許可とパスワードありがとうございます。更新させていただきます (2019年9月28日 13時) (レス) id: fef8d755ae (このIDを非表示/違反報告)
ナギ - らなこなさん» ありがとうございます!更新しました (2019年9月28日 12時) (レス) id: 6b24426cf3 (このIDを非表示/違反報告)
らなこな(プロフ) - ナギさん» 大丈夫ですよ! (2019年9月28日 11時) (レス) id: f463428b23 (このIDを非表示/違反報告)
ナギ - ごめんなさい。間違いで出しちゃいました! (2019年9月28日 11時) (レス) id: 6b24426cf3 (このIDを非表示/違反報告)
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