第98話 byラファエル ページ9
「ごめんね、ラフ」
「...いい」
ナガンが車椅子の上でちょっと小さくなりながらラファエルを見る。
ラファエルは依然として前を見つめるだけではあったが、本人としてはそのことはもう既に許している心中であった。しかしながら相変わらずの真顔なので相棒ナガンも感情の色合いがよくわかっていない様子。思っていることを押し潰し自己完結させるのはラファエルの悪い癖である。
そんな心理戦(?)は事置き、食堂ではシーナが会議室から持ってきたホワイトボードに綺麗な字で今回の作戦を書き記していた。
「なぜ食堂で会議なのでしょう...会議室にはプロジェクターがあるのに」
と、RAVEN。
「プロジェクターにはデータをPCから取り入れる必要がある。データのハッキングに備えて今回はアナログでやる...んだと思う」
ラファエルが小さく答えると同時にシーナがホワイトボードに計画の全容を書き終えたようでクロに目線を送る。
「今日の進行はウィルの欠席に伴って私がやる。まずさっきのヘンメル国の建国記念祭についてだ。記念祭では国家公務に通じている自国の者と友好国の来賓を迎え入れて祝するらしい。どうせウチはヘンメルに嫌われてるから招待されない。だからフローレンツィアの人間として潜入する。内部潜入した奴にアルさんの小型通信機をウィルに渡してもらって」
「ちょっと待って隊長!」
クロの説明を遮ったのは、車椅子の上でさっきまで小さくなっていたナガン。
驚きを隠せない様子でクロを見つめながら口を開く。
「『ウィルに渡して』ってどういうこと?総統は今ヘンメルと条約改正についての交渉に行ってるんじゃないの?文章からするとまるで総統が...拉致されたみたいに聞こえるんだけど」
震えた語尾を抑えるように、ナガンの目線はクロにロックオン。
クロはため息とともに、ゆっくりと言葉を紡ぐ。
「...ウィルは...多分、拉致られた。...普通に考えたら分かるだろ、ウィルがヘンメルに到着した日にサンレームが攻撃されたんだ。それに近郊5カ国の軍事協定。その中にヘンメルは入ってる」
「...国のトップがいない状況で、私達は戦わねばならないんです」
クロとシーナの言葉は、静かに食堂に響いた。
静寂に支配された食堂。
数秒経ったか、数分経ったか分からなくなるくらいに空気が重く歪んだその時、ラファエルは一つの大きな疑問を提言した。
「...国民にどう説明するつもりなの」
_____
状況説明がカイジみたいになってしまったぞ
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時空のラテ(プロフ) - 皆様お久しぶりです。ようやく更新です。 (6月10日 14時) (レス) @page46 id: 12bfae36c2 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉@低浮上 - 梅雨瑠さん» こちらも…!ありがとうございます! (2020年10月18日 20時) (レス) id: 91c6fa7187 (このIDを非表示/違反報告)
梅雨瑠 - 更新頑張ってくださいね!←読者 (2020年10月18日 9時) (レス) id: a2731c2f1a (このIDを非表示/違反報告)
らなこな@新しく始めました!(プロフ) - 臨海凛師さん» ふぁ!?読者様からのコメント...!読んでくれてありがとうございます! (2020年10月18日 8時) (レス) id: 6e36cc4795 (このIDを非表示/違反報告)
臨海凛師(プロフ) - 更新頑張ってください(読者) (2020年10月18日 6時) (レス) id: ad2c0a2c17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サンレーム国幹部一同 x他3人 | 作者ホームページ:無い。
作成日時:2020年1月10日 22時