【続編！】 とある軍の幹部事情！

第87話　byレオンハルト ページ46

…若いというのは良いね。皆、朝から元気に駆け回っている。
以前戦闘訓練を覗いた時より、遥かにレベルが高い気がするが、きっと気のせいだろう。
ルヴァナ君やRAVEN君の絵面が完全にホラーなのも気のせいだ。うん。

「藪医者ぁ、コレどこに持ってく？」
そんな様子を眺めていると、クロ君たちが「注射嫌い同盟」を抱えて戻ってきた。
「クロ、そろそろ降ろしてくれない？おーい、クロさーん？」


クロ君や軍医たちに「注射嫌い連盟」を各検査室に強制連行……コホン、連れていってもらう。
眼科検診、内科検診、心電図、レントゲン、聴覚検査、歯科検診、耳鼻科検診……。
30歳以上は、これに内視鏡やマンモグラフィーも加えるが、まあ、今は関係ないか。

そして、尿検査と検便の容器を渡し、明日以降、できるだけ早くに提出するよう言う。
すると、注射嫌い同盟御一行は、拍子抜けしたような、間の抜けた顔をした。
「…あれ？意外と少ない……？」

「全職員を診るからね。今回は簡易検査だよ」
全員を精密検査していたら、時間も費用も洒落にならないからね。
「それに、今回の簡易検査で注射はしないよ。予防接種じゃないんだから」

「何だ……心配して損した……」
「次で最後だよ」
診察室の椅子に座らせ、台の上に腕を乗せるように指示する。
嫌な予感がしたのだろう、顔を引きつらせ逃げようとするが、もう遅い。
軍医たちが良い笑顔で押さえつけていた。重い医療バッグを持って戦場を駆け回る軍医たちは、案外力が強かったりする。

「やだぁあ！注射嫌いぃい！」
「レオンさんの嘘つきーーーー！」
トレーに乗ったシリンジを前に、すでに彼らは涙目だ。
いや、嘘はついていないんだがね。これ、「注射」じゃないし。

「ほら、早く腕を出しなさい。」
「ほ、ほら私「先端恐怖症」だからさ、ね？」
「サーベル持った敵に突っ込んでいった挙句、雑菌まみれの傷を放置する君達が何を言っているんだね」
「そ、それとこれとは話が別だって！ほら、アドレナリンが出てるの！」

「安心したまえ。注射ではない、採血だ。採る量も多くてせいぜい15mL。君たちの怪我よりはマシさ」
注射のように異物が入ってくるわけではないから、採血はさほど痛くない。
針を刺す時は、まあ……人によっては多少は痛いだろうが。
彼らの場合、血液量の低下で具合が悪くなることは少なそうだし、大丈夫だろう。

「全然だいじょばない！安心できないって！」
「そうかい、それじゃあ…」

採血用の注射器の隣に、そっと黒い箱を置く。
そう、中身は例のアレだ。

「どっちをお望みかね？」

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