第47話 byレオンハルト ページ3
思うに、戦争で最も大変なのは、戦後処理ではなかろうか。
そして、その戦後処理でてんやわんやの大忙しになる部署の一つが、この医療班である。
「全く、派手にやってくれたものだねぇ」
「……ごめんなさい」
思わずぼやくと、近接攻撃部隊にも所属するラフ君が小声で謝ってくる。
無表情のように見えるが、目に見えて落ち込んだオーラを出している。
「いや、ラフ君はいいんだよ。少しは悪いだろうけど、君は自分で後始末をするからね」
ラフ君を責めるつもりはない。だが、こう愚痴りたくなるのも許してほしい。
患者多いし。誰かさんとか誰かさんとか誰かさんがすぐ脱走するし。
しばらく眠ってくれれば良いんだがね。ここで呑気に眠り続けている馬k……もとい博士みたいに。
視線をずらせば、真新しい、黒い左腕をつけたレイブン君と、静かに寝息を立てる馬鹿せ……じゃなかった博士。
ワタシの処置は完璧。麻酔はとっくに切れているし、今朝の診察にも異常は見当たらなかった。
……強いて言えば、意識がないにしては、随分と扱いやすかったことかね。
ふむ……あぁ、そうだ。
「……まだ眠ったままならば、起きた時には栄養失調気味になるかもしれんな……」
ねぇ、アル君?
さっきから、不自然に指先や瞼が動いているんだが、ワタシの気のせいかねぇ?
「……病院食も考えてもらわんとなぁ……栄養価が高く、かつ嚥下しやすいもの……」
アル君の額から、汗が流れる。
おやぁ?熱もないのにおかしいねぇ?
「……非常に不味いタイプの青じr」
「やあおはようレオンハルト卿!良い朝だね!」
パチッとアル君の目が開き、軽快にしゃべりだす。
「起きたかい。はい、お見舞いだよ」
「おぉ、ありがtモゴッ!?」
黒い「それ」をアル君の口に放り込み、すかさず掌でふさぐ。
すでにアル君は涙目である。あっ、これ楽しい。
「れ、れおんひゃるひょひょう、ほれは……」
「おや、お気に召さなかったかい?残念だ、せっかく北欧の友人に送ってもらったのだが」
心底残念そうに言えば、アル君は抵抗をやめ、大人しく舐め始める。
ん?ワタシの笑顔が怖いって?はは、眼科か精神科の腕の良い医師を紹介してあげよう。
アル君は、一人でサイレント百面相を繰り広げている。
顔と包帯も、その……インクで非常に愉快なことになっているし。
目配せすると、ラフ君がカメラ片手に頷く。
――カシャ
無情なシャッター音が鳴り響き、また一つ、サンレーム国に(黒)歴史が刻まれた。
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Noel*26(プロフ) - https://uranai.nosv.org/u.php/novel/a1de7a53d2/ 作りました( ^ω^)初めてだったから不備があったら許してください。注射一回だけ免除にするんで。() (2020年1月10日 22時) (レス) id: 3a6dfc07f6 (このIDを非表示/違反報告)
らなこな(プロフ) - Noel*26さん» いいよ〜 (2020年1月10日 21時) (レス) id: f463428b23 (このIDを非表示/違反報告)
Noel*26(プロフ) - 続々編作っていいすか...story3がいいなあ (2020年1月10日 21時) (レス) id: 3a6dfc07f6 (このIDを非表示/違反報告)
紫龍@トニック割り - 更新しました。((良い子の皆様はインフルエンザに気を付けて下さいね〜、マジで辛いw (2020年1月9日 22時) (レス) id: d104d608cb (このIDを非表示/違反報告)
紫龍@トニック割り - 更新しまーす。 (2020年1月7日 23時) (レス) id: d104d608cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サンレーム国幹部一同 x他5人 | 作者ホームページ:無い。
作成日時:2019年10月14日 15時