りょうかたおもい M.I

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「…行っちゃった…。」







橋本くんと2人残されて、人見知りな私は2人きりでは口を開くこともできない。







「Aちゃん、とりあえずどこか座らない？

俺、話したいことあるんだよね。」







そう言った橋本くんに頷いて、歩き出した彼のだいぶ後ろに続く。







「なんでそんなに遠いの？

隣おいでよ。」







そう笑う橋本くんの隣に並ぶと、おそらくすごくモテるであろう彼の隣を歩いている今の状況が不思議に思えてくる。







「…あ、あった。

あそことかどう？」







橋本くんが指をさしたのは売店の近くにあるテラス。






いいね、と頷いてそこに向き合うように座る。







「なんか、疲れたね。」






橋本くんは何か話すことがあると言ってたけどなかなか話す様子がなくて私の口から出たのはこんな言葉。







「橋本くん…？」






痺れを切らした私がそう声をかけると






「だから、涼って呼んでよ〜。」







またこれ。







「俺、Aちゃんってよんでるのに橋本くんなんて距離感じるし。」



「そう？」








確かに橋本くんは最初からAちゃんって呼んでいて…って、私たぶん自己紹介してないよね？







「ね、はしも…」


「涼。」


「…涼、くん。」







渋々名前を呼ぶと嬉しそうにふふ、と微笑んだ。

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