りょうかたおもい M.I

11 ページ11

「ちょっと、Aどうしたの？」




「…優美。」








橋本くんの呼び掛けに答えないまま固まる私に声を掛ける優美。







「え、なんで泣きそうになってんの！？」







井上くんを忘れたいのにどうしても井上くんを思い出してしまうことや、一緒に遊ぶ蒼弥くんの友達がまさかの井上くんの親友だったことに軽くパニックになって涙腺が緩みそうになる。








「…優美、ちょっとこっち。」








とりあえず男子2人から遠いところに優美を引っ張っていく。







「あの、橋本くんって人、井上くんの親友。」




「ええ！？まじ！？
あ、そういえば井上くんと一緒にいたかも…。
全然気づかなかった。」







そりゃ動揺もするね、なんて言いながらも優美は楽しそうで。







「いいじゃん。あの井上くんの親友だよ？いい人なんじゃない？」






いい人の親友はきっといい人だって、ちょっと頑張ってみたら？と言う優美の言葉に少し心が落ち着いた。







「そうだね。頑張ってみる。」








そう言って男子2人の元へ戻ると、2人とも心配そうな顔をして待っている。







「Aちゃん、大丈夫？」



「うん！ごめんね？
橋本くん今日はよろしくお願いします！」



「よろしく。
あ、敬語はなしね。あと、名前で呼んで。」








そう言って微笑んだ井上くんに負けないほど整った橋本くんの顔が輝いていて、少しときめいたのはまだ内緒。

12→←10

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す