りょうかたおもい２ M.I

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「……。」


「今度は何？

教室戻ってきたんだから井上くん見えるでしょ？」









やる気をすっかり無くして無言でぼーっと瑞稀くんを見つめる私に不思議そうな優美。









私のやる気がこんなに削がれる理由なんで分かりきってる。









『瑞稀くん、見てこれ〜』


『瑞稀くん、一緒にやろう？』


『瑞稀くん！』









瑞稀くんに群がる女子達。









瑞稀くんもにこにこしていて楽しそうに話している。









「…瑞稀くん、ね……」









私は瑞稀くんって呼ぶのに2年以上かかったのに。









今瑞稀くんの周りにいる彼女達は一瞬で名前呼びになって、未だにちゃんと目を合わせられないし、さっきみたいにすぐ目を逸らす私とは違ってしっかり目を見て話して、みんな明るくてかわいくて……









「Aさん、それは嫉妬というものですよ。」


「…わかってるよそれくらい」









またも突然現れた作ちゃんに明るく答える元気もない。









「…だってね、瑞稀くんが今まで女子と話してるとこ見たことなかったんだよ。」


「確かにあんまり話してるイメージないかも。




…でも意外とモテるって橋本くん言ってたよね。」









なんて言う優美にまたテンションが下がる。









「そりゃそうだよね、かっこよくて性格も良くて…モテるに決まってるよね。」









やっと近付けたと思っていた瑞稀くんが急にどこか遠い所にいる人のように思えた。

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