りょうかたおもい２ M.I

12 ページ12

「…っあーでも話した方がいい！絶対！」









そっか、しょうがないね、と優美は一瞬頷いたけれど2秒後にはまた話した方がいい、と騒ぎだした。









「だって今井上くんの他にいるの橋本くんと作ちゃんだけなんだよ！？

こんなチャンスもうないって。



…Aもわかるでしょ？

学校祭準備期間になってからいつも女子に囲まれてるの見てるじゃん。」









それも穴が空くほど、ね、と後ろに付け足した優美はふざけた口調ながら真剣な顔をしていて、私も真剣に考える。









…確かに、大袈裟かもしれないけど今を逃したら永遠に話せない気がする。









「よし、行く。」


「頑張れ！はい、深呼吸して！」









優美に励まされて再び扉に手をかけるがその手は情けなく震えていてどうしても開ける勇気が出ない。









「…あ、」









そのままもう少しだけ、もう少しだけ、と心の準備をしていると3人が立ち上がって教室の片付けをし始めた。









「もう帰っちゃうんじゃない？」


「…。」









やっぱり私には無理だ、そう思って扉から少し離れて俯くとどこまでも弱い自分に嫌気がさして目にじわりと涙が浮かぶ。









「やっぱりLINEする。」


「…え？」


「だ、だって、瑞稀くんのLINEゲットできるし、ライトも貸せるし一石二鳥じゃない？」









必死に言う私にじゃあなんでそんなに泣きそうな顔してるのよ、と優美が言ったところで私が開けようとして開けられなかった扉が開いた。

13→←11

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す