ワケが１８個 ページ19
｢＿＿ぉーぃ｣
...なに、うるさいな。
せっかく寝てるんだから、静かにしてよ。
『んぅ...うるさ、い』
目覚まし時計を叩くように。いや、もっとゆっくりフラフラと手を動かしてぽん、と何かに触った。
｢ちょっ...、｣
やばいとかなんとか聞こえるけど、気にしな...
＿＿＿＿バシッ！
『痛っ！？』
とても良いとは言えない、豪快な音がするのと同時に、私の頭に痛みが走った。
『...何してくれちゃってんの！？』
キッと睨みつけながらおそらく私の頭を叩いた綾を見る。
綾｢あぁ？自業自得だろ。お前が優斗の腹を触るからだろうが｣
腹を...触る？
『わぁぁああ！ごめん、優斗！』
優斗｢あ、はは...。うん、...大丈夫ー...｣
とても大丈夫そうには見えないけど。
赤くなったと思ったら急に顔が青くなるし。
忙しいな、優斗の顔。
カナ兄から顔をすごい逸らしてるんだけど。
『なんか、ごめんね』
腹を触ってしまったことについては反省してるんだけど...カナ兄が目が笑ってない状態で笑ってるから...私、本当に何したんだろ。
だって腹を触られたくらいで顔を青白くさせるなんて、女性恐怖症とかそこら辺でしょ。
でも優斗は女子に触れるし。
奏｢A〜、今後一切俺ら以外の男の前で寝るんじゃねぇぞ〜。ていうか、できる限り男の前で寝るなよ〜｣
『あ、はい』
昴｢警戒心がまるでないよな、お前｣
警戒心......ね。
この中に私に手を出そうと思ってる人はいないと思うんだけどな。
まぁその気になれば誰とでもできるんだろうけど。
『はーい...』
...て、あれ。昴の隣に瞳がいる。かなり距離があるけど。
瞳｢毎日こんな風に全員揃って食べてるの？｣
優斗｢ううん、揃ってご飯なんて初めてだよー｣
通常に戻った優斗が鞄を瞳に渡しながらそう言った。
私はほぼ毎日ここで食べてるんだよね。
ここじゃない所で食べると視線が集まって気になって仕方がないから。
綾｢...つか腹減った。こいつ来たしAも起きたんだしもう食っていいだろ？｣
綾がそう言うと、瞳はほんの少し、申し訳なさそうな顔をしてから鞄の中からヨーグルトを取り出した。
......ん？
瞳を含まないこの場にいる全員が固まった。
えっ、それだけ？
んなわけ......。
と思いつつ瞳の手元を凝視するが、全然動かない。
...マジか、それしか食べないの？
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作者名：小林 | 作成日時：2018年10月20日 14時
