【龍ﾈ申】あのね、好きかも【短編集】

憧れの貴女が　#14 ページ18

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「……なに、見てるんすか」



「わお」



「いや、わおって」



「ごめん、だって、
石川くんから話しかけてくれるなんて珍しいから」



「…もう話しかけないす」



「ええ、やだ、ごめんね」



「…いやまあ、嘘ですけど……

で、何見てるんですか」



「うーーん、別にそんな大層なもの見てないよ。
気にしないで」



「いや、逆に気にするっす。
スマホ、見せて、貸して」



「あ、こら」



「……Aさんの、サーブ」



「恥ずかしいから返して欲しいんだけど…」



「これ、めちゃくちゃ前の試合の、ですよね。
ネットに載ってないくらい前の」



「…そうだね、うん、高校卒業したくらいのものかな。

その時が1番サーブの調子よくて、
また打てたらいいなって思って動画見てたの。

ね、だからスマホ返して」



「……これ、貰えないですか」



「え、スマホ？やだよあげない」



「いや、動画」



「え？嫌だ」



「なんで」



「え、逆になんで？
恥ずかしいしまだ今と比べて技術も拙いから、ヤなんだけど」



「……欲しい、これ」



「んふ、(笑)
だから、やだって(笑)

ほら、返してね
ぼっしゅ……アッ、力強い、スマホ割れちゃう」



「ください」



「なんでそんなこだわる？
もうわかったって、あげるから手離して」



「っ、ありがとうございます」



「物好きだなーほんと

あ、ちなみにこれ
私のサーブのシーンだけ切り取ってるやつだから、
元動画の方送るね」



「いえ、これで大丈夫です。
てかこれがいいです」



「だからなんで？
なんでそんなに理由言いたくないの？(笑)

揶揄う目的で欲しいって言ってるなら
あげないよ」



「Aさんのサーブ、今も昔もずっと好きなんで、
本気で欲しいんです。お願いします」






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