もう一人の転生者 4 (ページ40)

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出会い ―ローゼ side― ページ40

ユアン君の登場にも驚いたが、それよりも、まさかこんな所で会うなんて思わなかった。
でも、ユアン君が居るという事は、必然的に彼女も居ると言うこと。

ムーンパレスの王族特有の青銀の髪が、目の前に広がる。
A姉様と同じ瞳の色を持った彼女は、私を鋭く睨み付けた。

ヴォルフ「フィオちゃんは、王族だったのね……」

近くにいた、ヴォルフさんの小さな呟き。

それもそのはず。
ムーンパレスの王族は、国王と王妃、第一皇子と第一皇女以外の情報は伏せられている。

以前、トールギス様が言っていた。
自分やA姉様の様な状態になってほしくないから、情報を閉鎖していると。
だが、第二、第三皇女の噂は、少なからず耳にしていた。

第三皇女、フィオナ・A。
彼女が来てからは、スムーズに事が運んでいった。
十二騎士の一人、セレスティアさんの名前を呼び、一緒に着ていた白い狼を呼ぶ。

フィオ「セレスティア！怪我人を優先に運んで下さい。黒(ｼｭﾊﾞﾙﾂ)に案内をさせます」

セレス「はいっ！」

フィオ「白(ｳﾞｧｲｾ)、ご苦労様でした。血糊は、綺麗に洗い流しましょう」

白(ｳﾞｧｲｾ)と呼ばれた白い狼は、喉を鳴らし、甘えている様だった。

ビアンカ「何だか、凄い子ね。あの子が来てから、誰も文句を言わなくなったわ」

ビアンカさんの言うとおりだ。
ここでのフィオナ姫の影響は、とても強い事を示しているのだろう。
自分よりも年下の子が、一つの町に大きな影響を持っているのだと、考えていると、声をかけられた。

ユアン「お久しぶりですね、ローゼマリー様。お元気でしたか？」

ローゼ「ユアン君！」

ユアン「すみません。もう少し早めに、出ていけば良かったんですが……」

次の言葉を掛けようとした時、フィオナ姫の声がそれを制止した。

フィオ「ユアン！銀(ｱﾙｷﾞｭﾛｽ)と一緒に、船内の後始末をして下さい！」

ユアン「ええっ!? それは僕より、セレスさんの方が……！」

フィオ「ユアン、急ぎなさい！」

ユアン「はい！」

また後で話しましょうねと、側に来た銀色の狼と一緒に、船内の中に行ってしまった。
その様子を見たビアンカさんは、何か思ったらしい。

ビアンカ「マリーちゃん、ユアン君って子と話す時は、気を付けた方が良いかもね？」

はい。そう思います。フィオナ姫の性格は、ゲーム通りっぽい。
下手にユアン君と話をすると、どうなるか判らない。我が身は可愛いのだ。