第三皇女 不安3 ページ35
気付けば、私は横になっていた。
目を開ければ、窓が開けられ、心地よい風が頬を撫でる。
フィオ「私、ねてた……？」
今、自分がいるのはベッドの上。
ユアンが運んでくれたと思って良いだろう。
フィオ「セレスちゃん、大丈夫かな……」
フィオ「うん……」
・ ・ ・ ・ ・
セレス side
ベールマー殿に追いついて、共同戦線して、どのくらいの時間が経っただろうか。
立っている人の殆どが、息も絶え絶えの状態だ。味方である船員の多くは、戦い慣れてはおらず、疲労の色が濃い。まともに動いているのは、私とベールマー殿にカラス殿、それとフィオちゃんの事を知っている男性だけ。
前にユアン君が、特徴的な話をする男性と話したと、言った特徴と似ている。たしか、その男性の名前はヴォルフさんと言っていた気がする。
セレス「このままでは、埒があきませんね。他の方々の方が気になります。
ヴォルフ「そうね。あの子を護りに行くのが良いわ。ここは食い止めるから、早く行ってあげて！」
クラウス「っ、恩に着る！」
同時に、
ヴォルフ「それで、貴方はフィオちゃんとユアン君の関係者かしら？」
セレス「えぇ。保護者のような者ですよ」
ヴォルフ殿の質問に答えながら、鞭で海賊達を気絶させていく。
途中、船が動き始めたせいか、海へ逃げる海賊も出始めた。
戦い慣れている者が少ないとはいえ、多勢に無勢。前みたいに、カーティス殿やアルマー殿が居た訳ではない。
あの時のような魔法も、この状態では使うことも出来ないし、何よりこの船には報告通り、ネーベルの姫様が乗っている。
うちの姫様方と比べて、護る術を知らないお姫様。
幸いにも、このまま行けば、フィオちゃんが滞在している町に着きそうだ。
海賊が数人残っていたとしても、ユアン君とフィオちゃんがいるなら、陸に着いてからでも捕縛は出来る。
だけど、それでは町人への印象が悪くなり、最悪港への上陸も危ぶまれる。
警備が行き届いていない町なら尚更だ。
セレス「気を引き締めなきゃ……！」
鞭を持つ手に、力がこもった。
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作者名：print11 | 作成日時：2019年6月30日 22時
