第三皇女 懸命、時々荒れる 1 ページ2
フィオ「どうしよう……。勢い余って、駆け出してしまった。でも、ユアンも悪いのよ。私の前で、あんな話をするから……」
A姉様から頂いた帽子も見つからない。
完全にカー君とユアンとはぐれた。はぐれたというより、飛び出してしまったせいなんだけど……。
完全に鬱な気分になってしまい、これから自分の身に起こる事など考えていなかった。
・ ・ ・ ・ ・
遡る事数時間前……
ユアン「このマカロン、ネーベルで僕が作ったんだ！ ちゃんと防腐使用の袋に入ってるから食べれるよ！」
カーティス「と言うことは、
マカロンの作り方を知っているのは、A姉様か、ムーンパレスの料理人くらいだ。ネーベルで作ったと言うことは、A姉様と作ったのだろう。
ユアンから一つマカロンを貰い、口に入れる。相変わらず美味しく作ると思ったが、ユアンはとんでもないことを言ったのだ。
ユアン「ネーベルの姫様と作ったんだ！」
私はある単語に固まった。何て言った？
聞き返しても、出てくる人物はA姉様じゃない。
聞けば、ネーベルで知り合った魔導師達とお菓子を作ったらしい。ユアンが作ったと言うか、生地を焼いただけで、生地を作ったのはネーベルの姫らしい。
そんな私の心情を知らずか、嬉々として話す。
ユアン「でね、A様達にも食べて貰ったんだ！」
カーティス「そうですか。それにしても、
ユアン「それ、僕も思ったんです。でも、姫様がA様に聞いて作ってたみたいですよ？」
カーティス「姫には興味ないですが、ユアン。そろそろこの話は、止めた方が良いですよ？」
ユアン「え？」
ユアンは気付いたのか、壊れかけの人形みたいに首を此方に向けた。
でも、私も我慢の限界だ。何でユアンの口からネーベルの、しかも姫の話なんて聞かないといけないのだろう。
カー君から貰った、林檎を持っている手に力が入る。
ユアン「あの……、フィオ様？」
フィオ「……ユアンの……!!」
ばかーーーーーーーーーー!!!!
握っていた林檎を、ユアンの顔に目掛けて投げ、綺麗に額に当たる。
そのまま、もう話を聞きたくないばかりに飛び出し、現在に至る。
フィオ「……私、馬鹿だわ」
ユアンの交友関係に、口を出すなんて。
ユアンを縛るつもりなんて無いけど、取られたくない。
顔をうつ伏せ、座り込んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 9人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：print11 | 作成日時：2019年6月30日 22時
