第三皇女 出立 5 ページ1
皇女である私が、野宿をする事になる日が来るとは思わなかった。
余り寝れなかったのもあるが、カー君もユアンも、良くこの状況で寝れたものだ。
フィオ「……眠い」
ユアン「フィオ様、寝なかったの？」
カーティス「気を遣うだけ無駄ですよ、ユアン。皇族や貴族の人間は、野宿なんてしたことないんですから」
フィオ「カー君……」
確かに野宿なんて初体験だし、お風呂にも入りたい。姉様だったら、絶対気遣ってるでしょう？
ユアン「あー、じゃあ、昨日の件は、どうしますか？」
カーティス「気付いてます？ 魔法が使えなくなっていること」
フィオ「えっ!?」
カー君に言われて、
ユアン「昨日の霧の代わりが、魔法遮断ですか？」
カーティス「いいえ。相手も魔導師の可能性が高い以上、それはないでしょう。むしろ、この洞窟内に秘密がありそうです」
フィオ「この洞窟、待ってた時もそうだったけど、不気味です」
何か、奥の方からとても怖い気配がしていけなかった。
カーティス「しかし、魔法が使えないとか、完全な足手纏いですね」
フィオ「ぐっ…………!!」
見も蓋もない。
私だって、好きでこうなった訳ではないのに!!
悶々と考えていたら、誰かのお腹の音が響く。
ユアン「…………!! ごめん、まだ朝食べてないから……」
顔を赤くしてお腹を押さえている。
カーティス「ここで食料調達は無理ですね。でも、非常食位ならありますよ？」
何処から取り出したのか、林檎を投げつけられた。
フィオ「わっ!?」
ユアン「わあっ!? カーティス兄さん、どこから林檎を……」
カーティス「秘密です」
ユアン「あっ！ フィオ様に渡すのを忘れてた！ これ、A様から預かっていたんだ!!」
懐を探り、一つの箱を取り出した。
ユアン「あっ……。これもまだあったんだ。フィオ様、これは渡しておくね」
受取った箱の中には、シルバーのネックレス。中央に嵌められたアメジストの宝石の周りには、細かな装飾が施されていた。
ユアンが箱と一緒に取り出したのは、色とりどりのマカロン。それ、何時の？
マカロンに目がいっていると、カー君にネックレスを奪われ、そのまま首に付けられた。
カーティス「面白いネックレスですね。さすが
面白い？ 何が!? 綺麗なネックレスだよ!?
でも、何だか暖かい。A姉様が近くにいる気がした。
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作者名：print11 | 作成日時：2019年6月30日 22時
