もう一人の転生者 1 (ページ7)

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ネーベルの第一皇子ページ7

？？？ side

？？？「てやっ！」

？？？「殿下、少し休憩しましょう」

ふぅと息をつき、構えていた木剣を下ろした。そのまま近くの椅子に腰を掛け、ゆっくりと息を吐いた。

？？？「そういえば、今日はムーンパレス王国の王と、その御子息様がいらっしゃるのではないですか？」

クリストフ「そうだ。だが、父より私は出席する必要ないと言われた」

王族同士の関係など、希薄なものだと思っていた。
だが一年前、トールギスと出会い、色の無い世界に色を与えてくれた。
トールギスは同い年でもあり、打ち解けるのは早かった。
城内であれば、妹のローゼが私に彩りの世界を与えてくれた。

？？？「それは、何とも……」

今現在、剣の指導をしてくれた騎士、レオンハルトは苦笑いをしていた。

レオンハルト「しかし、噂によるとトールギス王子殿下の妹君も一緒に来られているとか……？」

クリストフ「その事なんだが……」

？？？「お二方、避けて下さい！！」

鈴のような声の方に目を向けると、光の球が私達めがけて飛んできていた。
とっさに、レオンハルトが腰に構えていた剣を抜き、光の球を斬り捨てる。
その欠片？の一部が、私の頬を掠めた。

目の前にきた少女は、酷く慌て、不安な顔をしていた。
だが私は、そんな少女に目を奪われていた。

・・・・・

A side

私は二人の元へ、慌てて駆け寄った。

A「大丈夫でしたか？！」

レオンハルト「大丈夫です。貴女様は……？」

黒騎士の青年は大丈夫と言ったが、光球を切った剣を握っている手は震えていた。
青年の震えている手を両手で包みこみ、言の葉を紡ぐ。

A「かの者に癒しを……」

温かい光に包まれ、徐々に青年の震えが止まっていく。
震えが止まった事にホッとし、次は金髪の少年の頬に手を添え、言の葉を紡ぐ。

クリストフ「なっ……？！」

A「この者の傷を癒し給え」

少年の顔が紅くなるのもお構い無しに、魔法で頬の傷を治す。
手を離し、傷が消えた事を確認する。

A「これで大丈夫ですね」

金髪の少年は驚いていたが、手を頬に持っていき、先程出来た傷が消えていることを確認していた。

クリストフ「君は、一体……」

A「名も名乗らずして、御無礼を申し訳ありません。私は、ムーンパレス第一皇女、A・Aと申します」

３才児とは思えぬ完璧な拝謁で、目の前の二人を驚かせてしまったのだ。