もう一人の転生者 1 (ページ41)

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皇女と戦ページ41

船が大きく揺れ始めた。
快晴の中に、波が大きく揺れているらしい。

ロウ「セレス様の挨拶変わり、と言った所でしょうか？」

A「セレスのあれは、振るい落しには丁度良いですが、これは慣れません」

世話しなく、船全体はぐらぐらと揺れ、床に座りこんでいる。
数分間の揺れが収まり、立ち上がろうとしたところ、荒々しく部屋の扉が開け放たれる。

海賊1「上玉がいるじゃねぇか。売れば、高値が付きそうだ」

海賊2「野郎は生かすな！」

なめ回すように私を見ては、更に後ろから数名の海賊が姿を現す。

A「ソル！」

掛け声と共に、海賊と私の間に立ちはだかる。

海賊3「なんだ、嬢ちゃん。犬遊びでもする気か」

小馬鹿にしたように、下品な笑いが響く。
だがその笑いは、数秒後には悲鳴へと変わる。

A「えぇ、そうです。我が依代(よりしろ)に力を与え、姿を現せ!!」

掛け声と共に、ソルの足元には五芒星が浮かび上がる。体が徐々に大きくなり、蒼白い炎を纏う。
例えていうなら、大きさ的にはもののけ姫のモロの君だ。

A「さぁ、ソルと遊びたいのはどなたです？」

海賊1「うわああああ……!! 化け物だ!!」

海賊2「こんな話、聞いてないぞ!!」

あわてふためく海賊達を尻目に、ソルはどんどん気絶させていく。
入って来た扉から逃げようとした者は、第三者の登場により、さらにパニックに陥る。

セレス「姫様、お待たせしました」

腰に据えた鞭で、残りの海賊達を薙ぎ倒していった。
セレスの鞭裁きは、もはや女王様といっても良いかもしれないが、本人には言わないでおこう。

セレス「ふぅ……。これで、終わりですかね」

ロウ「お疲れ様です。甲板の方はどうですか？」

セレス「あちらには、カーティスとアルマーに対応して頂いてます。予定なら、もうそろそろ……」

良いタイミングで、カーティスとアクセルが姿を現す。

カーティス「えぇ、終わりましたよ」

アクセル「A様、老師、ご無事ですか?!」

ロウ「はい。こちらは勇敢な女性のお陰で無事です」

カーティス「なら、海賊の方はネーベルに引き渡しましょう」

セレス「そうですね。船の修理も、ついでにして貰いたいわ」

ロウ「では、着いたら手続きをしましょう」

A「ソル、戻って良いですよ」

主の言葉を聞き、元のサイズに戻る。
疲れたのか、あくびをして床に丸くなっていた。
ネーベルに着くのは、あともう少し。