もう一人の転生者 1 (ページ5)

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ネーベル王国 1 ページ5

船に揺られ、ネーベル王国へ入国した。
今、私Aがいるのはネーベル国王の前。

ネーベル国王、ランドルフ・フォン・ヴェルファルト王。

我が父、シュタイナー・Aと談笑していれば良いものも、ネーベル国王は面白いものを見つけたかの様に、話しかけてくる。

いや、話しかけると言う生易しい表現ではない！
質疑応答にて、尋問されている気分だ！！

ランドルフ「シュタイナー、お前の娘は面白い。息子の方も同じ事が言えるが、娘の方は楽しませてくれるな」

シュタイナー「娘はやらんぞ、ランドルフ。それに、お前の息子はどうした？合わせる約束だっただろう？」

ランドルフ「奴なら今、指南を仰いでいる」

素知らぬ顔をして、何事もなかったかの様に振る舞うランドルフにシュタイナーは青筋を浮かべる。

トール「……では、ランドルフ陛下。私とAの二人は、一足先にご子息様の元へ行かれても構いませんか？」

シュタイナー「そうしろ、トールギス。こいつの相手は私がしておく。ラーズ、お前は二人に着いていけ」

ランドルフ「おい、シュタイナー」

ランドルフは何か言いたそうだったが、父は目で制止、ラーズに足早にこの場所から離れるように伝えた。

・・・・・

トール「ふぅ……。ランドルフ王との話は、息が詰まりそうだ」

ラーズ「同感です。あれは世間話という類ではなく、尋問に近いですね」

部屋から出るなり、本音が出る。
A自身もそう思っていたため、ため息をついて同意する。
もう一度言う。あれは世間話ではなく、尋問だ。
会話の中で相手を見定めようとするソレに近い。

A「兄様、私達はどこへ行けば良いのでしょうか？」

トール「A、ランドルフ王は先程、御子息について何と言っていたか憶えているかい？」

A「確か、指南を仰いでいると……」

トール「指南を仰ぐと言えば、場所は特定される。ここからだと、鍛錬場が近い」

迷いなしに歩き始めるトールギスにストップをかける。

A「あの、兄様！その場所は御存じなのですか？」

トール「あぁ。一年前に着た事はあるし、クリスとは顔を合わせている」

トールギスを先頭に、Aとラーズも後から着いていった。