もう一人の転生者 1 (ページ4)

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第一皇子の友人 2 ページ4

トール「他の者達は聡明と言うが、聡明の一言では正直収まらないがな？そんなAだから、ラーズの事を話したいと思っている」

ラーズ「…………」

A「あの、トール兄様？」

トール「A、ラーズは……」

ラーズ「トール、俺から伝える」

目でトールギスを制し、Aに意を決して話し始めた。

ラーズ「A皇女、俺は亡きハイランド王国の生き残りなのです」

A「ハイランド王国ですか？確か、竜の血を受け継ぐ一族が……？！」

Aは改めてラーズを見る。漆黒の髪に緋色の瞳。だが、その瞳は光源で別の色に変化していた。

ラーズ「俺はその一族の生き残りです」

トール「それだけじゃない。ラーズは王家の人間でもある」

A「どうして、私に………？」

ラーズ「たった一言二言話した程度ですが、トールから話しは聞いてはいましたし、それに、確かに皇女様は成熟されていらっしゃる」

A「……?!」

ラーズの笑顔に少し顔が紅くなる。
ラーズの顔も整っているのだ。いくら目付きの鋭さが仇となっても、整っているものは整っている。
トールギスとは違った美形だが、急に微笑まれては心臓に悪い。

トール「ラーズ、A」

名前を呼ばれ、トールギスの方に顔を向ける。

トール「近日、父と俺とAで、ネーベル王国に行く。俺は付き添いにラーズを指名している」

ラーズ「ネーベルに？陛下とトールが行くのは解るが……」

トール「Aの噂が、ネーベル国王の耳に入った」

A「…………？」

トール「ネーベルには俺と同い年の皇子がいる」

ラーズ「成る程。おまけに、陛下と友人。陛下の皇女様は才女として噂されている。好条件だな」

A「私は婚約者候補、というわけですか」

トール「そうだな。だから、信頼出来るラーズをAの側に置きたいと思っている」

ラーズ「トール？」

トール「俺も父も、Aをネーベルに献上する気はない。だが、Aが望んでいるなら……」

何とも言えない顔でAみる。

A「トール兄様。王家に産まれた以上、いずれこういった話は来ることでしょうが、父様も兄様も私の意見を尊重して頂けるのでしょう？それで十分です！」

ラーズ「……ははっ。トールよりもしっかりしているじゃないか！」

トール「ラーズ……」

A「だったら、私に手を届かせなくするまでです」

スッキリした顔で、兄とその騎士の顔を見ていた。