もう一人の転生者 1 (ページ18)

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皇女と専属騎士ページ18

Aside

ネーベル王国へ初めて訪れてから、何度か王子と王女との交流は、良い方向に進んでいる。
特に第二王子ヨハンとは、ローゼを介して仲良くなったものだ。
最初の顔会わせこそ、姉を取られまいとする態度をとられていた。だが、ヨハンと真っ直ぐ向き合ったお陰か、なつかれた。
今や、ヨハン、A姉様と呼びあう仲だ。
その呼びあいに、クリストフ様が複雑そうにしていたのも目新しい。
思わずクスリと思いだし笑いをしてしまった。

？？？「随分ご機嫌ですね、A様」

A「えぇ。少し、ネーベルの兄弟を思いだしていました」

？？？「あぁ………。あの姉弟ですか…………」

話しかけてきたのは、あの一件以来、専属騎士となったアクセル・アルマー。
ぱっと見た感じは短髪だが、朱色の髪が首筋から背中まで伸び、その朱色の髪の間から見えるエメラルドの瞳。
十二騎士候補生の一人で、年はラーズの１つ下と聞いている。
そんなアクセルは、少し遠い目をしていた。

A「アクセル、顔が黄昏ていますよ？」

アクセル「黄昏たくもなりますよ。私は、ネーベルの姫と第二王子には嫌われているようですしね」

A「どうしてなのかしら？ヨハンはともかく、ローゼも何処か変なのだけれど……」

アクセルの回答には、苦笑いをするしかなかった。なぜなら、薄々感じてはいた。
ヨハンに関しては、出会ったときからローゼから離れないし、敵視されていた。所謂シスコンを拗らせていた状態だったため、何とも言えないが、問題はローゼだ。
アクセルが話しかけて来るものなら、ローゼが先に話しかけくる。そしてやたらとクリストフ様と話を促す。
以前ローゼの記憶の中を覗いたが、自分と同じ転生者であることを知った。まだ私自身が転生者であることは、ローゼには打ち明けていない。

アクセル「私、何か粗相でもしたでしょうか？」

A「そんな事はないわ。アクセルは、私の目から見ても、きちんとマナーは守れている。初めて来た時に比べれば、上達したもの」

アクセル「昔の話は止めてください」

A「ふふっ……、ごめんなさい。でも、アクセルも初めて会った時と比べて丸くなったわ」

アクセル「いえ、王族である貴女と奴隷市場で売られていた私とユアンでは、あの時は身分が………」

A「その話こそ止めましょう。私達は、もう違うのですから」

何とも言えない空気の中、部屋の中に第三者が来るまで、言葉を交わさなかった。