もう一人の転生者 1 (ページ13)

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王女と皇女 1 ページ13

A side

しばらくラーズの胸で泣いていたが、ようやく落ち着いた時、名前を呼ばれた。
ラーズから離れ、声をする方へ顔を向けると、目の前には金髪碧眼の少女が、目を輝かせて立っていた。

A「貴女は……」

身に纏った上質なドレス。自分と同じ位の年の少女。おそらくこの子は…………。

？？？「A様でいらっしゃいますか？」

A「はい。私は、ムーンパレス第一皇女、A・Aと申します。お恥ずかしい所を見られたようですね、ローゼマリー様」

略式の拝謁を小さな姫にとり、彼女もまた、拝謁をした。

ローゼマリー「はい。私は、ローゼマリー・フォン・ヴェルファルトです。私の事をご存知なのですか？」

A「はい。先にローゼマリー様の兄君、クリストフ様にお会いした時に、教えて頂きました」

ローゼマリー「お兄様に？」

A「えぇ。私は、ローゼマリー様に会いに行こうとしていた所なのです」

ローゼマリー「そうだったのですね！私のことは、ローゼと呼んで下さい」

A「解りました、ローゼ様。それと、こちらは私の護衛をしている者です」

ラーズ「お初目にかかります。私は、ラーズ・ウル・アルハザードと申します」

ラーズはローゼ様の手を取り、その指先に唇を落とした。
その時見たローゼ様の顔が、ひどく驚いていた。

・・・・・

ローゼマリーside

目の前の黒髪の少年は、ラーズと言った。
彼は後のムーンパレスの十二騎士長だ。
と言うことは、竜の血を受け継ぐ者。
でも何故彼がAの護衛に？
だとしたら、正規の護衛の彼が、騎士に就くのはまだ先だということ。年齢から考えても、その可能性が高そうだ。

ラーズ「どうかなされましたか？」

ローゼ「い、いえ。本日は確か、ムーンパレス王と、第一王子もいらしていると聞いていましたので……」

A「えぇ。父様は陛下と、兄様はクリストフ様と一緒ですよ？」

ローゼ「(と言うことは、二人きりで話せる最大のチャンス！)A様、私はA様とお話がしたいです！」

A「ふふっ……。私からもお願いします」

ローゼ「……お姉様がいたら、こんな感じなのですね」

A「ローゼ様が良ければ、姉と慕って頂けるのは光栄です」

ローゼ「本当ですか？では、A姉様とお呼びしても？」

A「はい。妹が増えて、私も嬉しいです」

ローゼと呼ばれ、嬉しさのあまり、A姉様に抱きついた。