呪いの王の最愛の花嫁【両面宿儺】

弐拾弐話 ページ26

今日、俺は隣の山まで行き
結に贈り物と出産をさせる場所を選んでいた

この時代の奴らは家の中でお産せず
結に聞いたところ
白装束に身を包み、体に鬼が入ってこないよう、
祈祷をしながらの出産を里におり、山や森でするそうだ

この時代の奴らは、お産をケガレと言うらしいが
俺にとっては、理解に苦しむな
自分の子に会えると言うのにケガレなどと。

俺は、確実に安全な場所でもあり
安産で産まれるという、有名な所へと足を運んでいた
隣の山というせいで帰りが夕方になってしまった

宿｢そろそろ産まれると言っていたな
準備は怠ってはいないはずが
やはり不安ではあるな｣

そして、夕方になってしまったのは
隣の山だけではなくもう1つ、結への贈り物だ
それは、獣の毛で造った筆だ
結に聞いたが、馬の毛で造った筆は上質とのことだ

最近、結は書物を書いている
毎晩毎晩、睡眠をする前に書くのだ
それが、日課になっている

そんな日課になっている書物を
結は、俺には一切見せん
見せろ、と何度言っても何度も断る

往生際が悪い。だが、それも愛おしいくなり
結の横顔を眺めながら結が布団に入るのも待つ
それは、俺の日課へとなってしまった

さて、結はこれを見てどう思おうか
あやつの事だ。
俺に貰える物ならなんでも嬉しい、などと言い
眩しいぐらいの笑みを浮かべるだろう

あぁ、早く会いたいものだ

宿｢帰った｣

俺は、ゆっくりと戸を開け結の声を待つ
だが、いつまで経っても
結の声など聞こえなかった

宿｢帰ったぞ。結｣

家の中、どこを探しても結の姿などなかった
履物もないのを確認し、まだ帰ってきてないと分かった

宿｢今日、村へ行くと言っていたな｣

嫌な予感がした

俺は、急いで村の方へと降りる
俺が来たことで村の奴らは、いつも悲鳴など上げるはずが
何一つの音さえなかった

宿｢…なんだ。なぜ、村の奴らは誰もいない
いつもは、俺に恐れては逃げ叫ぶだろ｣

俺は、村を駆け回り
家の中などを色々漁ってみたが
結の姿はやはりどこにもない

宿｢…結！どこにいるんだ！｣

“__宿儺様”

突如、俺の頭の中に結の声が流れた
その後は、何も聞こえなかったが
何故か、結の居場所が分かるような感じがした
俺は、その方角へと向かう

宿｢…っ、結？｣

俺は、目の前の光景に息が止まった
それどころか意識さえ飛びそうだった

それは、、今目の前に__。

血の海に溺れた結が倒れているからだ__。

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