呪いの王の最愛の花嫁【両面宿儺】

拾漆話 ページ20

結と結ばれてはや半年
今の暮らしに
結は、慣れてきたのか
山を下っては、獣を狩るようになった

貴｢宿儺様〜！見てください！
今日は、猪を捕まえました〜！｣

背中に背負っている籠の中のには
籠から飛び出るほどの猪が入っていた

結が俺の嫁となってから
結は、嫁になったからには、などと言い
毎日、精がつく料理を作ろうと頑張っておる

だが、女子が一人で
山を下っては、獣を狩るなど
俺としては、不満でしかない

獣など俺がいくらでも狩る、と言っても
結は、聞く耳を持たぬからな

宿｢結…。獣を狩るのはいいが
怪我などしておらぬだろうな
俺が見ていぬ所で怪我などしたら許さんぞ｣

貴｢大丈夫です！
これでも私、丈夫な体をしてるんですよ！
それに今日は、満月です！
とびっきりの料理を作りますからね！｣

眩しい程の笑顔を見せれば
結は、鼻歌まじりに
韻を踏んでは、台所へと向かう

俺は、そんな結を見ては
自然に笑みが零れていた
視線を戻し、落ちかける日を眺める

日は落ちていき、辺りは暗くなり
次は、月を眺めていた
月は、綺麗に丸く輝いておった

貴｢宿儺様〜！お食事の御用意が出来ました〜！｣

結は、勢いよく扉を開けては
料理を机の上に並べる
それは、いつにも増して豪華であった

宿｢なんだ。今日は祝い事でもあったのか？｣

貴｢すみません…
綺麗な満月に見とれてたら
つい、こんなに沢山作ってしまいました…｣

結は、申し訳なさそうに顔を俯く
俺は、箸を持ち結の料理を口に運ぶ

宿｢別に構わん。これぐらいの量など食べきれる｣

そう言うと、結の顔が
一瞬で明るくなり
口いっぱいに飯を頬張る

その口の端には
しっかりと米がついておった

宿｢そんなに急がんでも飯はどこにも行かぬぞ｣

俺は、結に顔を近づけ
口の端についた米を食べる

貴｢あ、ありがとうございます！｣

その途端、結は勢いよく
俺から顔を離しては
顔を真っ赤にしていた

いつもならば、またついてました？、などといい
平然としているはずが
なんだ…？今日は、やけに変だな
そんなに満月が気に入ったのか？

だが、満月など月に1回は見ている
先月など別に満月にこだわりなど感じなかった
何か、隠しておるのか？

机の上に並んだ料理を全て食べ尽くした
皿を片付けようと
結が台所へ向かおうとしている時
俺は、結に問う

宿｢…今日は、何か特別なことでもあるのか？｣

その言葉を聞いた結は
動きが静かに止まる

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