呪いの王の最愛の花嫁【両面宿儺】

拾伍話 ページ18

貴方side

私の耳に響く鳥の鳴き声
そして、温かいぬくもりに
幸せを感じながら私は目を開ける
私の体には、毛布がかけられていた

貴｢…あれ？宿儺様？｣

宿儺様の毛布変わりとして
温めていたはずなのに
いつの間にか私が温められていた

寝起きの為か私の頭は働いておらず
目の前にいた鳥たちを眺めていた
その鳥たちは、私と目が合うと
直ぐに羽ばたいていった

…はっ！宿儺様に朝ごはんを作っていない！

私は、慌てて毛布を畳み
台所の方へと走っていった
すると、台所へと向かうにつれ
私の食欲がそそられるような匂いが漂う

貴｢すみません！宿儺様！
只今、朝食の準備…を…。｣

私は、目の前の光景に驚きを隠せなかった
私の目の前には
私が朝食で出しているような品物が
机の上に置いてあった

宿｢おはよう。起きたか
朝飯の準備なら今できたところだ｣

貴｢すみません！私が寝てたばかりに…！｣

宿｢しばし、横になれ。と言ったのは俺だ
気持ちよさそうであったから起こすのをやめた｣

そう言うと、宿儺様は、私の目の前へと立ち
私を抱えては、机の目の前に座らせる

宿｢そんなことより食え。俺の自信作だ
初めて、人間の食い物を
結の作るやつを見様見真似作ってみた｣

宿儺様は、そう言って
目を輝かせながら私を見つめる

確かに私が今までに作ってきたやつばかりだ
そして、私の得意な料理まである

私は、お箸を手に取り
料理に箸を進め、口へと運ぶ

貴｢…美味しい｣

宿｢そうか！腹が減っただろ
まだまだあるから沢山食え｣

私の美味しいという一言で
宿儺様は、笑みが零れては
私のお皿へとたくさんの料理を乗せる

貴｢ふふっ｣

宿｢なんだ？笑いが出る程、美味いのか？｣

貴｢ええ。とても、美味しいです｣

美味しいのは、本当です
そして、宿儺様の嬉しそうな笑顔を見れて
それがまたこの料理の隠し味ですね

私は、宿儺様へと近づき抱きしめた
そんな私に対して、宿儺様は
私の背中に腕を回しては、優しく抱きしめてくれた

宿｢なんだ。今日はやたら甘えてくるな｣

貴｢貴方の優しさが温かくて｣

私は、宿儺様の腕の中で心地よくしていると
宿儺様は、懐から紙を取り出す

宿｢…結｣

貴｢はい｣

宿｢読め｣

私は、宿儺様から紙を手に取る
それは、一通の文通であった
送り主は、宿儺様であった
その文通の中身は、恋文だった

貴｢宿儺様…これっ…んっ！｣

私の唇は、宿儺様に塞がれ
唇はゆっくりと離れていく

宿｢俺の妻となれ。結｣

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