呪いの王の最愛の花嫁【両面宿儺】

拾壱話 ページ13

息する暇もないほど
角度を変えて
接吻をし続けた結果
結の意識は飛んだ

そして、今は俺の腕の中で
ぐっすりと寝てしまっている
気持ちよさそうな結の寝顔を見ていると
俺も眠くなり意識が無くなる

目が覚めると、腕の中にいた
結の姿はなく
俺は、台所の方へと足を運ぶ

そこには、結の背中があり
いつものように朝食を作っていた

俺は、そんな結の背中が愛おしく感じ
後ろからゆっくりと抱きしめる
結は、驚いた顔を見せるが
すぐに手元へと目を戻す

貴｢おはようございます｣

宿｢…あぁ、おはよう｣

貴｢…朝食はすぐに出来ますので
あの、離してもらっても｣

宿｢断る｣

結は、小さく溜息をつき
慣れた手つきで次々と
野菜などを切っていく

宿｢おい。これは入れるな｣

俺は、いつも入っている
緑色の苦いものを手に取る
結は、それをなんの躊躇もなく奪い取り
器の中へとぶち込んだ

貴｢好き嫌いは良くないですよ｣

宿｢好き、嫌い、という問題ではない
苦い物を食って、美味いと感じんという話だ｣

貴｢栄養は沢山あるんですから｣

そういって、結は、
緑色の苦いものを箸でつかみ
俺の口元へと持ってくる

貴｢はい。これだけ食べたら入れませんから｣

宿｢…ちっ｣

俺は、結の手をとり
緑色の苦いものを口に運ぶ

うむ…この食感だ…気分を害す
そして、なんなんだこの味は…苦くて堪らん

俺が渋い顔をしているからなのか
結は、俺の顔を見ては
楽しそうな表情をして、同じように
緑色の苦いものを口に運ぶ

貴｢でも、まさか誰もが思いませんよね
宿儺様が苦瓜が苦手だなんて｣

宿｢名前からして苦そうだな｣

結は、ふふっ、と小さく笑っては
また、緑色の苦いものを口に運ぶ

貴｢私だけの特権ですね｣

楽しそうに優しく微笑む結に
無意識に俺は、口を寄せて合わせていた
結は、驚いたのか肩が跳ねる

宿｢…やはり、苦いものは苦いな｣

俺は、満足して、机の方へと移動する
結は、そんな俺を見て
口が開いては、顔を真っ赤にする

宿｢固まるな。早く飯を持ってこい｣

貴｢…ずるい人｣

宿｢ほう。もう一度されたいか？｣

貴｢只今！｣

結は、俺の言葉に焦りながら
器にたくさんの魚や野菜などを盛りつける
俺は、それを口へと流し込む

宿｢これでいいんだ｣

貴｢美味しいですか？｣

宿｢何当たり前のことを聞いておる
美味いからこんなに食べておるんだろう｣

結は、また満足気に笑い、俺も笑みが零れた

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