呪いの王の最愛の花嫁【両面宿儺】

玖話 ページ11

鳥のさえずりが聞こえ
俺は、ゆっくりと
目を開けると朝になっていた

朝か…こんなに時間が過ぎるのが早いと
感じたのはいつぶりか…

俺は、起き上がろうとするが
腹部ぐらいから重みを感じる
その方へと目を向けると、結が寝ていた

宿｢…人の上で寝ておいて、涎を垂らすな｣

俺は、結を動かそうとするが
結があまりにも気持ちよさそうに
寝ている為、起こす気が失せた

静かにしていると
結の寝息が聞こえる
余程昨日は、はしゃいだのだろう

考えてみれば、こいつが
俺の屋敷に泊まるのは初めてだな
いつもは、村の方に帰っていて
だから、寝顔を見るのも初めてか…

貴｢…んっ、｣

俺が結の頬に触れると
結は、それに反応して眉間に皺がよる
俺は、そのままゆっくり髪の毛を触る

貴｢…す、くな様｣

結が気持ちよさそうな顔をして
愛おしそうに俺の名を呼ぶ
そんな結に鼓動が早くなる

宿｢…本当にお前は、俺をどれだけ狂わせる｣

貴｢…へ？｣

俺の呟いた言葉に結は
反射的に起き上がって、俺の顔を見る
俺は、それに驚き、結を転がしてしまう

案の定、驚きはしたが頭とかは、守った為
痛みはないだろうが、結の顔は真っ赤であった

宿｢なんだその顔は｣

貴｢昨日の私、大丈夫でしたか？｣

昨日？あぁ、あの酒の件か
まぁ、見ものではあったが
この様子だと何も覚えていなさそうだな
少しばかり遊んでやるか…
この俺を狂わせる罰だ

宿｢凄かったぞ｣

貴｢えっ！？なにか喋ってました？！｣

宿｢喋るわ、暴れるわ
この俺ですら手が付けられん状態だ
お前、どんだけ酒癖が悪いんだ｣

貴｢それじゃあ、私言ったのですか？！｣

結は、顔を更に赤くしては
俺から目を背けるように
背を向けては、足を畳み込む

貴｢は、恥ずかしい…｣

宿｢そんな恥ずかしいことなのか？｣

貴｢恥ずかしいに決まってるじゃないですか
貴方に、好きって言ったんですよね…
しかも、酔った勢いで…｣

…好き？。結が俺の事を好きと言ったか？

宿｢お前、俺の事好きなのか？｣

結の顔を覗き込むと
結は、目に涙を溜め、真っ赤な顔で俺を見る

貴｢…好きですよ｣

俺の心臓は、握りつぶされたかのような感覚に陥る
脈も早くなり、呼吸が苦しくなるような感じがする

俺は、結の事が好きなのか…

涙でいっぱいの結を見ては
愛おしさで潰されてしまいそうになる

宿｢…愛い奴め｣

小さく呟き、結を抱きしめる
結も俺の背中に手を回す

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