首領の女 ２

明日までの辛抱 ページ19

部屋を出てから会場に向かう為に
エレベーターに乗り込んだ時
ふっと笑いが込み上げた



















佐野
「かわい」



















その呟きは周りに誰も居ないせいで
エレベーター内に残った

元々彼女は
あまり自分から行動を起こすことはない
付き合っていた時も
自分が振り回していた気がする

今は一虎のことがあるから
オレに自ら触れようともしなかった
一虎がいる手前
くっつきたいのを我慢し
たまに触れてる今、それだけで満足してた

隣に居てくれるだけでいい

見てるだけでいい

隣に寝ても
スヤスヤと眠るAを見てるだけで
手は出さなかった

別れたらいくらでも出来る
明日になったら全部終わらせる
それまでもう少しの辛抱だ

目の前でカタカタとパソコンを打ち込むココ
邪魔しちゃ悪いと思いつつ
気になったことを聞いてみた



















A
『あの、今日のパーティーには
さっきの佐々木さんも行くんですよね？』

九井
「そりゃもちろん行くけど、どうした？」

A
『いえ、、、』



















目の前で落ち込む姫

あの女のこと気にしてんのか？



















九井
「あの女とボスは別行動だ
なんも気にすることはねぇよ」

A
『とても可愛らしい方だったので』



















可愛い？どこが？

ただギャーギャー騒いでるだけの女を
どこをどう見たら可愛いという単語が出てくるのだろうかと
九井は不思議に思った

願う→←無意識な行動

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す