口付けは煙の味 ページ31
「っ……」
カラン、カラン……と力なく回りながら滑っていくナイフをゾム様は信じられないような顔をして見ていた。
「はぁ、はぁ……ゾム様、お願い致します。無駄な争いを私は好みません。どうか手を引いて頂ける、と」
急に動いたせいで息が切れる。なんとか立ち上がり再度ゾム様を説得しようとすると急に壁際に追いやられ、突然喋れなくなってしまった。
「っ、ゾム、さ、ま……」
「は……っ、……気に食わんわ」
胸倉を掴まれたまま壁に押し付けられた状態でゾム様に唇を奪われています。何で？どうしてそうなったの？
「なに、が……っ」
「……煙草の味する」
ゾム様は眉根を寄せて文句を言いながらまた口の中に舌を差し込んで来る。
そりゃあそうだ。ショートピースを吸ったまま何も口にしていなかったら苦い煙の味がまだ残っているなんて、当たり前なのに。
「ん、は……っ、ゾム様っ……」
「は……っ」
ぬるりと舌を絡められて、まるで恋人にするように甘く吸い上げられて喉がヒクつく。
かと思えば呼吸も言葉も、何もかも奪うような激しい口付けに足の力が抜け掛けて慌てて壁に手を突いて支えた。
やけに上手い口付けに長いこと特定の相手を欠いていたせいで慣れなんかすっかり忘れてめちゃくちゃ好き勝手に貪られてしまった。
「何を、なさるのですか……っ」
「キスやけど？もしかしてキスだけで腰砕けるような童貞やった？」
「あいにく童貞ではございません。同性に口付けられた経験などありませんでしたし、幹部の方に手荒な真似はできないので抵抗しなかっただけです」
「俺のナイフ蹴飛ばしてよう言うな。その減らず口もっかい塞いだろか？」
「衆道の趣味はありませんので衆道胃袋バカはお帰り下さい」
「い、胃袋！？……ﾋｯﾊﾊﾊﾊ！！あかん、ツボった」
突然の暴言が相当面白かったのかその場にうずくまって爆笑している。
乱れた服装を整えているとようやく復活したゾム様こと衆道胃袋バカが今度は両手を壁に突き、退路を塞ぐオーソドックスな壁ドンに切り替え玩具を見つけた子供のような純真な輝きを放つ瞳が俺を見下ろしてくる。
「お前ほんまおもろいな」
「それはどうも」
「あー、これはグルッペンに報告やな。新しい戦力も増えてあいつも万々歳やろ」
「それ……は」
間違いなく非戦闘要員から戦力として配置される未来が見えて苦い顔をする。
「そんなに嫌なん？」
「……ええ。嫌です」
「そんなら、何すればええか賢い給仕君なら分かるよなぁ？」
人生に3回しかないモテ期を無駄使いさせるのはやめてください→←脅威の観察眼
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加藤(プロフ) - 花緑青さん» しております！が抜けてました・・・ﾊｽﾞｶｼｲ (2019年8月23日 4時) (
レス) id: 55ae45cac2 (このIDを非表示/違反報告)
花緑青(プロフ) - 加藤さん» 加藤様コメントありがとうございます！直球の告白有難く受け止めさせて頂きます。まだまだ酷暑が続きますので加藤様もお気をつけてお過ごし下さい。 (2019年8月21日 12時) (レス) id: 02ce914128 (このIDを非表示/違反報告)
加藤(プロフ) - す、好きです！！！！！！癒しをありがとうございます！！！！お体にお気をつけて！更新も楽しみに！！！ (2019年8月21日 6時) (レス) id: 55ae45cac2 (このIDを非表示/違反報告)
花緑青(プロフ) - ねむるさん» ねむる様コメントありがとうございます。某イルカはWindowsの何かのツールで出てきたコンシェルジュ的なキャラクターですね。｢お前を消す方法｣などで調べると画像が出てくると思います。給仕君を気に入って頂きありがとうございます！きっと彼も喜んでいると思います (2019年8月20日 21時) (レス) id: 02ce914128 (このIDを非表示/違反報告)
ねむる(プロフ) - 男主くんの設定すごいすきです...。某イルカのオマージュ分からくて地元の水族館のイルカ出てくるCM思いつきました() (2019年8月20日 20時) (レス) id: f070b83cbf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：花緑青 | 作成日時：2019年8月16日 8時
