殺伐の中にも緑くらいある ページ17
「一応自給自足も兼ねてここで野菜とか果物、あとハーブを育ててるから必要なら申請してくれ。申請書ならトントンとかに言えば貰えるはずだから」
「かしこまりました。それにしても立派な畑ですね」
敷地面積はさほど広くはないがどの作物も瑞々しく、 丁寧に育てられているのが傍目からも良く分かった。
「!!そうなんだ!ここの野菜は無農薬にこだわってて身体にもいいし味も美味いってよく言われるんだ」
「ふふ、らんらん褒められて嬉しそうめう」
「あ、いや……誰だって褒められたら嬉しくなるだろ!」
取り乱した事を恥じているのか、赤面しながらも咳払いで誤魔化すひとらんらん様はからかってきたオスマン様を睨むが当のオスマン様は全く気にしていないようだ。
「褒め上手な給仕君、こっちの庭園も褒めて欲しいめう〜」
「いえ、決して褒め上手という訳では…」
否定しながらもオスマン様の優雅な手の動きで誘導された視線は美しい庭園を捉えた。
ここが国の中枢である事を忘れてしまうくらい可愛らしい花々が荒んだ心を癒す。
白い薔薇のアーチを入口とする庭園は中央に円形でガラス張りの離れが建っていて、そこから放射線状に生垣や花壇などで色とりどりの花が咲き乱れていた。
「とても美しい庭園ですね……惚れ惚れ致します。こちらの庭園はオスマン様が?」
「ううん、僕はお花のチョイスとアレンジメントだけ。お世話は他の人に頼んどるよ」
「なるほど……比率の取れた完璧な配置だと思います。……あの、中央の建物は……?」
「あれはお茶会する時に使ってるサロン代わりのスモールハウスやよ。今度給仕君に淹れてもらった紅茶が飲みたいなぁ?」
「必要になればいつでもお申し付け下さい」
「給仕君なんか庭園似合うしきっと紅茶も美味しいそうめう〜!約束やで?」
糸目の隙間が開き、常磐色の瞳が鋭くこちらを覗き込んでいて何故だか無意識に生唾を飲み込んだ。
「最高に美味しい紅茶を淹れて見せますのでご期待下さい」
楽しみめう〜!とはしゃぐオスマン様から緊張感のようなものが消え、花々に囲まれて笑う顔は女性のようだなとぼんやり思った。
「今は……五時十三分か……給仕さん食堂行くところだったんですよね?そろそろ向かいます?」
エーミール様がポケットから出した懐中時計で時刻を確認すると首を傾げてそう問い掛けられた。
「あ、はい。ではそうさせて頂きます。オスマン様、ひとらんらん様、エーミール様。失礼致します」
給仕君の〜ちょっとイイとこ見てみた〜い!→←春ではないけどそこは爛漫でした
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加藤(プロフ) - 花緑青さん» しております!が抜けてました・・・ハズカシイ (2019年8月23日 4時) (レス) id: 55ae45cac2 (このIDを非表示/違反報告)
花緑青(プロフ) - 加藤さん» 加藤様コメントありがとうございます!直球の告白有難く受け止めさせて頂きます。まだまだ酷暑が続きますので加藤様もお気をつけてお過ごし下さい。 (2019年8月21日 12時) (レス) id: 02ce914128 (このIDを非表示/違反報告)
加藤(プロフ) - す、好きです!!!!!!癒しをありがとうございます!!!!お体にお気をつけて!更新も楽しみに!!! (2019年8月21日 6時) (レス) id: 55ae45cac2 (このIDを非表示/違反報告)
花緑青(プロフ) - ねむるさん» ねむる様コメントありがとうございます。某イルカはWindowsの何かのツールで出てきたコンシェルジュ的なキャラクターですね。「お前を消す方法」などで調べると画像が出てくると思います。給仕君を気に入って頂きありがとうございます!きっと彼も喜んでいると思います (2019年8月20日 21時) (レス) id: 02ce914128 (このIDを非表示/違反報告)
ねむる(プロフ) - 男主くんの設定すごいすきです...。某イルカのオマージュ分からくて地元の水族館のイルカ出てくるCM思いつきました() (2019年8月20日 20時) (レス) id: f070b83cbf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花緑青 | 作成日時:2019年8月16日 8時