突然の辞令 ページ2
「え、異動……ですか？」
「あぁ、ここでの仕事も完璧にこなしているし幹部棟に移っても問題ないだろう。あと向こうの給仕係に空きが出たそうでな」
「はあ……」
広い食堂は昼飯時のせいもあって喧騒に満たされている。
ようやく手が空いてホッと息をついた間もなく食堂の責任者から突然の異動を告げられた。
「何故私なんでしょうか……」
「さぁ……？ま、とりあえず辞令書。渡しといたからな」
差し出された紙には確かに辞令、と大きく題され本日午後より一般兵棟から幹部棟へ変更になったと記されている。
もう聞いた内容であるのに無駄に何度も読み返し、誰にも見られないように慎重に溜息を零す。
「は〜……めんどくさ……」
仕事も終わり自室へと戻る。自室といっても四人一組で使用しているのだが他の使用者は仕事中なのか誰もおらず、がらんとしている。
幸い大きな私物はなく、数着の着替えと愛読している小説と大切なコレクション達を鞄に詰めて一般兵棟を後にした。
一般兵棟や資料棟などは基本的に解放されているが、幹部棟のみ出入口にセキュリティロックが掛かっていて簡単に人が入れない仕組みになっている。
扉の横に設置されたカメラに辞令書……もとい捺印された紋章を見せると重々しくロックが解除された音が聞こえた。
最初こそ重い足取りだったが気持ちを入れ替え背筋を伸ばし、毅然とした態度で守衛室へと足を向けた。
「一般兵棟から異動しました給仕係です。本日からこちらで勤務する事になりました。ご挨拶と引き継ぎ作業の為幹部棟へ参りました」
「あぁ、話は聞いている。書記長殿から総統室に向かうよう言伝を預かっている。向かうように」
「かしこまりました。失礼致します」
幹部棟……中は初めて見るが一般兵棟とはまるで違う装飾だ。
決して一般兵棟が質素な見た目をしている訳ではない。あちらもあちらでそれなりに綺麗な建造物だったが、幹部棟の内装はシックなもので纏められ置かれている調度品も値が張りそうなものばかりだ。
感嘆の溜息か、それともただ面倒臭さから漏れる溜息か。吐いた細長い息は小さな音を立てて消えていった。
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加藤(プロフ) - 花緑青さん» しております！が抜けてました・・・ﾊｽﾞｶｼｲ (2019年8月23日 4時) (
レス) id: 55ae45cac2 (このIDを非表示/違反報告)
花緑青(プロフ) - 加藤さん» 加藤様コメントありがとうございます！直球の告白有難く受け止めさせて頂きます。まだまだ酷暑が続きますので加藤様もお気をつけてお過ごし下さい。 (2019年8月21日 12時) (レス) id: 02ce914128 (このIDを非表示/違反報告)
加藤(プロフ) - す、好きです！！！！！！癒しをありがとうございます！！！！お体にお気をつけて！更新も楽しみに！！！ (2019年8月21日 6時) (レス) id: 55ae45cac2 (このIDを非表示/違反報告)
花緑青(プロフ) - ねむるさん» ねむる様コメントありがとうございます。某イルカはWindowsの何かのツールで出てきたコンシェルジュ的なキャラクターですね。｢お前を消す方法｣などで調べると画像が出てくると思います。給仕君を気に入って頂きありがとうございます！きっと彼も喜んでいると思います (2019年8月20日 21時) (レス) id: 02ce914128 (このIDを非表示/違反報告)
ねむる(プロフ) - 男主くんの設定すごいすきです...。某イルカのオマージュ分からくて地元の水族館のイルカ出てくるCM思いつきました() (2019年8月20日 20時) (レス) id: f070b83cbf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：花緑青 | 作成日時：2019年8月16日 8時
