【名探偵コナン】月の巫女 Part4 (ページ19)

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第156話私だけの時間ページ19

陣平が観覧車から降りて、中にあったであろう解体済みの爆弾を持ってこっちに歩いてくる

貴「おかえり、陣平」

松「…ただいま、姫さん」

陣平の無事を確認できてホッとする

貴「待ってるって言ったくせに結局私が待っていたね」

松「うっせー、それは観覧車の問題だ」

そんな話をしていると爆弾処理班の人がきて、陣平が回収した爆弾を受け取った

さっきまで話していた美和子はいなくなっていて、少し先に美和子と目暮警部達がいるのが見えた
これは特殊事件捜査係の管轄になるから署に戻るのだろう

貴「陣平も、署に戻らないとね」

元々出勤している陣平なのだ
今日の仕事はまだあるだろう

松「ああ」

貴「…でも少しだけ私に時間ちょうだい？」

松「ん？いいけど…」

私は爆弾を渡したことによって、空いた陣平の胸に飛び込んだ

松「！」

美和子が泣いていたが泣きたいのは私も同じだった

貴「良かった…、本当に…、生きてる…。触れられる…、本物だ…」

電話で声は聞いても実際に姿を見ると安心した
ギュッと陣平を抱きしめて存在を確かめる
陣平の身体は暖かくて、いつものタバコの匂いがして、生きていると実感する

松「…当たり前だろ？」

貴「あんなこと言って！もう生きること諦めて、死んじゃうんじゃ無いかって！！」

松「…それは悪かった。でも、俺は姫さんがあっちの爆弾を解体したから生きているんだ。姫さんが解体できてなかったら俺は今頃…」

陣平はそう言ってくれるがそんなことはない

貴「違うの…。私だけじゃ無理だった…。力不足だった…。研二がいなかったら何もできてない…！！」

そう
研二がいなかったらあの爆弾は今ごろ解体できていない
私の力では無いのだ
結果的に陣平は助かったが運良く研二がいなかったらと思うとゾッとする
素人の爆弾なら余裕と犯人の技術を甘く見ていたこちらの落ち度だ

松「あいつもいたのか…。…なら、2人が俺を救ってくれたんだ。姫さんが爆弾を見つけてくれて、萩と一緒に解体してくれて。どっちが欠けていたら俺はトロッコに引かれていた」

そう言って陣平は私のことをギュッと抱きしめてくれる

貴「うぅ…、バカ…、これからも自分の命を犠牲にしたら許さないんだから…」

松「ああ…。肝に銘じておくさ。……大丈夫だ。俺はここにいる。ありがとな」

貴「っ！」

私はしばらく陣平の腕の中で泣き続けた
大の大人がみっともないと思うがそれでも涙はとめどなく溢れてきて止めようとしても止められなかった