nights【青】 (ページ2)

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樹「おい。あんた、大丈夫？つーか

生きてる？」

「さあ」

他人も誰も救えない。思えば彼奴はそういう人間だった。

俺にとってあいつはずっと可哀想な人間だったと思う。

散々な目にあっても生きている。

人生山ありどころか谷しかない人生だったらしい。

詳しいことは知らんけどもなんつーか、同情をした。

高校の時仕事に関わる人間が皆敵に見えた時期があった。

皆俺が弟って知ってるし、皆がその事情を知っていたから。

俺も同じと思われているんだろう、背中向けたら刺されるっておもってたくらい。

「生きてる、ていいこととはわたしは思わないかな」

樹「………わかる」

「なにが。

屈辱も、地獄も知らないような男に同情なんてされたくない」

樹「はっ、いうじゃんクソアマ。

屈辱も地獄もしょーじき、だれよりも分かってるわ」

他人なんて見る暇ない。

俺は今、もうどん底なんだ。

そう思っていても、この雨でずぶ濡れになっているこの女を見過ごすことなんてできなかった。

「………わかるんの？」

樹「お前とは違くても誰よりもわかる」

「………なら私は、どうしたらいい？」

樹「さあ、そんなの俺に聞かれてもわからない」

「私がもし、哀れに見えるなら

一緒にしんでくれる？」