HS side ページ21
細い手首を掴んで引き上げて、抱き寄せる。
なんて華奢なんだろう。
ああ、女のコの匂いがする。
柔らかい。
Aの耳をゆっくり舐めて、首筋に吸い付くと、
『すみませーん、これ以上は抵抗させていただきますね』
HS「え?」
失礼しまーす、とのんびりした声が聞こえたかと思うと、視界が反転して床に引き倒されてた。
Aの膝が俺の右耳の上に乗ってる。
嘘…これだけなのに、全然動けない。
『すみません、私、合気道の師範なんですー』
HS「ええ?!マジ、ちょ…イタタタ!この技なに?!」
『Aちゃん超☆ウルトラスーパーミラクルにっこりプレスっていいます』
HS「ダサっ!名前クソダサいじゃん!」
『え…酷いです、何ヶ月も考えたのに』
鏡越しに、本当にショックを受けた顔が見えて、思わず笑ってしまった。
HS「クク…あっはっは!ごめん、悪かった。本当ごめん。もう絶対何もしないから離してくれる?」
『しっかり謝罪してください。ダサいと言ったこと』
HS「そっち?!」
膝がなくなって、体勢を起こすと、まだご機嫌斜めなAが俺を睨みつけていた。
その、唇を尖らせる癖、可愛いって思う。
HS「すみませんでしたー」
『私のお願いを聞いてくれるなら、謝罪を受け入れますし、今日のことは秘密にしておきます』
ニヤリ、と笑ったA。
HS「なに?皆を説得するとかはお断りするよ?」
『ホソクさんは本当に皆さんが好きなんですね』
HS「どうせ偽善者って言うんだろ」
『はぁ。例え偽善者だとしてなにかいけないことあります?ホソクさんは自分が辛くても、自分より他人の気持ちを優先させるひとだってことですよね。世界の人口の88%の人はそれができませんよー。ホソクさんみたいな人が12%いるから世界が潤滑に回るんです。決して蔑まれるようなことではないです』
Aは、さも当然のようにそう言ってのけた。
この子は一体なんなんだろう。
俺は、Aの言葉をゆっくり頭の中で反芻させて考える。
たまに、自分が嫌になるときが今までだって何度かあったけど、何度考えてもモヤモヤが晴れることはなかった。
でも、Aに、今の自分のままでいていいって言われたような気がして…。
HS「ありがとう。なんか、救われた気持ちになった」
『良かったですねー。では早速お願いごとですが』
え、余韻とかないの?
浸ってるの俺だけ?
なんか恥ずかしいんですけど。
それにしてもこの子、根性据わってるわー。
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オサナイ(プロフ) - ううさん» うう様、とっても嬉しいコメントありがとうございます♡ARMYじゃなくても読んでくださったんですね! (2022年11月23日 12時) (レス) id: 2a01e4e00e (このIDを非表示/違反報告)
うう - ARMYではないのですが最高でした🥰 (2022年11月19日 23時) (レス) id: 9b3b28867b (このIDを非表示/違反報告)
オサナイ(プロフ) - まるさん» まる様、嬉しい感想ありがとうございますー(*´`*) (2022年5月6日 16時) (レス) id: 8d98d51d6c (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - すごく面白いです!言葉のチョイスが最高です! (2022年5月1日 12時) (レス) @page28 id: 2a0a7c4887 (このIDを非表示/違反報告)
オサナイ(プロフ) - もとのさん» ありがとうございますー!ダラダラ続いてしまってマンネリ気味ですが、最後までお楽しみいただけるように頑張ります^_^ (2022年4月17日 23時) (レス) id: ed8940f9ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:オサナイ | 作成日時:2022年2月8日 18時