最低なストーカーさん -SEVEN-【JK】

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それから慌てたようにファイルに目を通した。
ヌナのこと、知りたくて。











それから毎日、ヌナを尾行する日々。







一ヶ月もすれば、
だんだんとヌナのことが分かってきた。












朝は早めに起きて、
空気の入れ替えをすること。











電車が苦手で、
躊躇して何本か見送ってから、
意を決したように乗ること。










気の強そうな顔に似合わず、
甘い物が好きで、駅前のカフェのパンケーキに
こんもりクリームを乗っけること。










幸せそうに笑うこと。











裁判の前は指先が冷えるらしく、
必ず温かい飲み物を包み込むようにして飲むこと。











勝訴した日の帰り道、
小さくガッツポーズをすること。













被疑者の悩みを自分のことのように受け止めて、
自分のことのように痛みを感じてしまうこと。













それから。












『実家に帰るつもりなんてない。自分の力で生きてみたいの、お願いそっとしておいてオッパ』










ミンさんと、うまくいってないということ。









責任感と正義感の塊で、
困った人を放っておけなくて
芯が強くて、
なのに怖がりで、
その癖強がりで。







自分のことより
他人のことを優先する人。











ヌナのことを知れば知るほど、
ヌナを支える唯一の人になりたいと思った。










仕事で疲れた帰り道、
華奢な肩を抱いて、









そんなに気張らなくてもいいよ











もう充分頑張ってるよって、
言ってあげたかった。
















『大丈夫です、私を信じて。あなたの無実を証明してみせます』














カフェで、必死に依頼人を励ます
綺麗な横顔。











穏やかに笑う時の、
柔らかそうな唇。









凛とした背筋。










もっともっと、知りたい。
もっともっと、色んなヌナを見たい。












「あーあ…。こっち、向かないかな」














「向いちゃ駄目なんだって」











ナムジュニヒョンが、
冷静にツッコんだ。











今日1日に起きた出来事をまとめて
レポートを提出するために
事務所に戻って、PCに向き合ってた時、
無意識に口に出してしまったようだ。










「でも、僕のこと見てほしいんです。Aさんの瞳に映りたい」











「彼女が見る視野の水平方向100度以内に入れば映りはするよ、風景に溶け込んで来い」









「…そういうことじゃないんですよ」

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