・ ページ16
ピタリと音がやむ。
やだ。
怖い。
ドアの向こうで今、
どんな顔で立ってるんだろう。
しばらくそのまま立ち尽くして、
でも結局ドアにはそれ以上近づけなくて。
音を立てないようにそっと後退りして、
リビングに戻った。
心臓が、変な速さでずっとバクバクいってる。
ジョングク…。
そこに、居たの?
一年前を思い出す。
あの頃も確か、ポストが荒らされたり
盗撮された写真が送られてきたり、
家具の位置が若干変わったりしてた。
ジョングクと直接話すようになってから、
少しずつ被害が少なくなっていって…。
だから、改心してくれつつあるのかな、
なんて呑気に考えたりもした。
どうしてストーカーなんかに少し
気を許すような態度をとっていたんだろう。
その日は電気をつけたまま、
毛布にくるまって朝を待った。
一睡もできず迎えた朝、
とにかく人が多い場所に行きたくて、
仕事用のスマホとPC、それから防犯ブザーを持って
外に出た。
「一階で良いかしら?」
『あ、はい』
エレベーターで、
隣の部屋に住んでる恰幅の良い女性と一緒になる。
ただそれだけで、心底ほっとしている自分がいる。
「あの…なにかお困りのことがあったら…。うちの主人、警視総監ですの」
『え?』
女性が、薄紫色のレンズが入ったメガネを
クイと上げた。
「昨夜お宅の部屋の前で、タトゥーだらけの男がウロついてたのよ」
『タトゥー…』
ジョングクだ。
間違いない。
ぶるっと震える私を見て、
女性が大丈夫?と背中を撫でてくれた。
『大丈夫です…ありがとう…ございます』
手渡された名刺を財布にしまって、
昨日の嵐が嘘みたいにピーカンな空の下、
なんとか最寄り駅のカフェまでたどり着いた。
まるで食欲もわかないもんだから、
とりあえずコーヒーを注文して、
PCを見つめる。
どうしよう。
あのマンションは決してセキュリティが低い方じゃない。
心配性で私を溺愛する父が、ここだったらと
一人暮らしを認めてくれたほどには。
何かあれば実家に連れ戻されると思って
ストーカー被害にあってることは話さなかったけど…
暫く実家に帰ってみようか。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1952人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
kiku(プロフ) - このお話を読んだ後またMV観たらお話とリンクしてボディガード設定にしか見えなかったです。キュンキュンしました。オサナイ様の想像力に毎度乾杯！ (10月12日 23時) (
レス) id: 5e67e06b21 (このIDを非表示/違反報告)
ｵｻﾅｲ(プロフ) - ゆゆさん» ゆゆ様、いつもありがとうございます♡私と共に打倒魔王ですねw来世に期待しましょうwモラトリアムの方、話し忘れたので見返して書き始めましたwまたお待ちしてます♡ (9月11日 20時) (レス) id: 9bd3cb808b (このIDを非表示/違反報告)
ｵｻﾅｲ(プロフ) - りるさん» りる様、いつもありがとうございます♡付き合ったあとの喧嘩も書いてみたかったなぁと思いつつ、リハビリなのでここまでになりましたw今回も最後まで読んでいただき嬉しいです♡ (9月11日 20時) (レス) id: 9bd3cb808b (このIDを非表示/違反報告)
ｵｻﾅｲ(プロフ) - reiさん» rei様、いつもありがとうございます♡逃避行した後でも色々喧嘩しながらずーーーっと大好きでいてくれそうですよね♡最後までお付き合いありがとうございました♡ (9月11日 20時) (レス) id: 9bd3cb808b (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - ｵｻﾅｲ様、ストーカーJK完結ありがとうございます✨来世でぜひ世界を救わせて頂きますので、再来世は爆イケJKに毎日毎分毎秒愛される人生をよろしくお願いしたいところです💖モラトリアムの続きを楽しみにしております😆 (9月2日 9時) (レス) @page50 id: 904312cb69 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ｵｻﾅｲ
| 作成日時：2023年7月16日 13時
