最低な婚約者3【JN】

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『テヒョン君てさ』












ふ、と冷たい指先が
俺の額に触れる。








ビクッとしながら
見上げると、













『ソクジンさんのこと、大好きでしょ?』












すぐそこに、Aさんの
朝焼けみたいに穏やかな微笑み。












「そんッ…!」












思わず、起き上がった。













「…なんで…」












なんで、分かったの?















『お兄ちゃんのために、頑張ってたんだ』













ふにゃって目を細めて、
優しく髪を撫でられて。












“そんなに社長のこと嫌い?”













ジミンにもそう言われるくらい俺、
誰にも言ったことないのに。










ばれたことなんてないのに。












なんでこの人は。












「うん、俺…ヒョンが好き」












初めて口に出した。
その瞬間、溜め込んでた気持ちが一気に
込み上げてきて、喉がぐっと詰まった。












「大事に…したかった…」













顔を見られたくなくて、膝を抱えて、
額を毛布に埋める。













「…ごめん…なさい」








Aさん、
ごめんなさい。











俺、Aさんとヒョンは本当に愛し合ってるって
分かってたよ。











でも、ヒョンが結婚したらきっと
家から出ていってしまう。
俺からどんどん離れていってしまう。








悪者になるって決めてた癖に
いざいなくなるって思ったら
寂しくて寂しくて。








Aさんを悪者にして、
ヒョンを繋ぎ止めようとしてた。








Aさんが婚約者としてふさわしくない
条件ばっか探して。












「結局俺、ヒョンのこと幸せにするどころかッ…傷つけて、ボロボロにした」












涙が止まらなくなった。










風邪で弱ってるのか、
元々俺が弱かったのか…分からないけど。









しゃくりあげる度に、その背中を
Aさんの手がゆっくりさすってくれた。















「Aさん…ごめんなさい」











『うん』









「ごめ…」








『うん』








頷いてくれるたびに、
心の奥底のほうで凝り固まってた
ドロドロの気持ちが溶け出してく気がした。









きっとAさんも一人で泣いてたんだろう。







俺が、泣かせてしまった。










「ねぇ、お願い…ヒョンのとこ、戻ってよ」










『…』










「ヒョンは…Aさんがいないと駄目だって…」

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