最低な婚約者3【JN】

屈服っぷり×JN ページ15

Aさんの顔が真っ赤に染まる。












「ごめん、自分勝手で。ごめん、こんなにも愛してしまって」











いつもの気の強い眼差しとは打って変わって、
縋るように僕を見上げてるのがゾクゾクする。










ねぇ。
頬を伝う涙まで美しいだなんて、
どれだけ君は罪深いの。












正直、此処にくるまで少し
躊躇していた。










拒まれたらどうしようとか。








戻ってもうまくいく保証なんてどこにもないし、
同じ過ちを繰り返すような、
そんな生産性のないことになったら
この行為は無駄でしかないし。










でも、色々考えてた癖に
いざ、Aさんを目の前にしたら
そんなこと、どうでもよくって。








目が合った瞬間、甘く痺れるように
動けなくなった。






それで分かった。
もう、理屈じゃないんだ。







ただただ、
君が欲しい。










それだけなんだ。












『ごめんだなんて…思ってない顔してます…』










「ふふ、だって君のせいでもあるでしょう?」










わざと音を立てて彼女の指にキスをする。









「君がいないと僕の世界がどれだけくだらないものに成り下がるか」













『…ッ』











今度はまぶたに、キス。











「君が気付かせてくれたんでしょう?僕がどれだけ君を必要としてるか。目の前にあった幸せの尊さも、誰かのことを深く深く愛する意味も、全部全部君が教えてくれた。だから、君のせいだよ。責任とって僕の側にいてよ」












そっと髪を撫でると
彼女がビクッと体を震わせて、












「それとも君はもう、僕を愛せない?」










それからまた、
じっとりと僕を睨みつけた。












『そ…そういう聞き方をする人は嫌いですッ』













ぷいっと横を向いた赤い頬。
思わず吹き出してしまう。












あーもう、本当…可愛い。
僕の好きな、強気の目。











「じゃあ僕の都合の良いように解釈するけどいい?キスを拒まなかったことも、その赤い頬も。まだ可能性はあるってことでいいんだ?」











『ど、どうせ…愛せないって言ったところで屁理屈ばかり並べて言いくるめるんでしょう?』












「ふふ、屁理屈とは心外だけど、そうなるかな」










僕が唇を緩めると、
彼女が怒ったように手を振り払った。

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