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『先輩はたくさんの人に好かれてるように見えますけど』
「俺もアイツらのことよく知らないし、アイツらも俺のことなんか知らないよ。だから好きでいられるんじゃない?」
『…そんなもんですかね』
「ホントの所で分かりあっちゃいないの。名前も知らない取り巻き1号2号3号…何号までいるのかも分かんないし。で、たまにセ ックスする女の子たち。でも、そんなんでも何の支障もないんだ。居ても居なくても困らないの。それがさ、時々なんか…」
言葉に詰まって、黙って、
それでもその先を紡がないテヒョン先輩が、
へらり、と笑う。
あ、そうか。
この人の処世術なんだ、緩い、この笑顔。
「なんか、たまんなくイラつく日があったりなかったり。って、なんで俺おセンチ?やんなるね。生理かな」
そう言って、ベンチから立ち上がった先輩は、
カラカラと笑って背伸びをした。
『そうゆうのって、イラつくじゃくて、寂しいって言うんだと思います』
そのまま、どこかに消えてしまいそうな背中が
やたらめったら寂しそうで。
でも、彼の取り巻き何号か同様、
いや、それ以上に彼のことを何も知らない私に、
彼を救えるような一言が言えるはずもなく。
「……うん、そっ…か。そっか」
振り向いて、
「寂しい、は、分かんなかった。そうなのかもね」
アーモンドみたいな形の瞳が、
細く細く形を変えて、灯すように笑った先輩は、
踵を返して私の目の前に立った。
「ね、今日はバイトさぼって君と遊ぶことに決めた!今すぐ!なう!だ!」
『え、やだ勘弁してください』
「俺の誘いを断るのって、Aくらいだよ?」
いや、そもそも住む世界が違う人間
と何して遊んだらいいか分からないし、
こんな綺麗な人の隣りにいたら
緊張して心臓がもたな…あれ?
『なんで名前知ってるんですか』
「ふふん、誰が履修登録したと思ってんの?」
あ、覚えてたのか。
あの日のこと。
なら最初から名前を呼んでほしい。
そしたら私、ありがとうございましたってちゃんと言えたのに。
忘れられてると思ってたのに。
「よーし!ジャージャー麺食べに行こう」
でも、私が返事をするより早く、
空から大粒の雨が降ってきて、
私たちはバッグで頭を隠しながら、
図書館の裏口の屋根の下に逃げ込んだ。
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オサナイ(プロフ) - さん» コメントありがとうございます^_^停止してしまっていてすみません。。タイミング見ながら進めたいと思います! (2022年11月15日 0時) (レス) id: 2a01e4e00e (このIDを非表示/違反報告)
- 更新楽しみにしてます! (2022年11月12日 2時) (レス) id: cfb035f70c (このIDを非表示/違反報告)
オサナイ(プロフ) - ips403さん» いつも感想ありがとうございます♡こちら改行含め手直ししたいと思ってますー!自分でも話忘れてるのでお待ち下さいw (2022年8月25日 14時) (レス) id: c4780ee8d4 (このIDを非表示/違反報告)
ips403(プロフ) - オサナイさん、いつも作品楽しく何度も何度も読ませていただいております!言葉のチョイスや表現のセンスが素晴らしくてどんどん読み進めちゃいます!このお話しも大好きなのでお忙しいと思いますが更新楽しみにまってます❤️ (2022年8月21日 12時) (レス) @page28 id: 9fa96337fd (このIDを非表示/違反報告)
オサナイ(プロフ) - 猫のペルシャさん» わーありがとうございます!^_^更新停止してしまっているにも関わらず、ご評価頂けて嬉しいです^_^ (2022年8月3日 23時) (レス) id: c4780ee8d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:オサナイ | 作成日時:2022年1月8日 21時