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「俺はもう、アンタの所には戻らない。確かに、俺はくだらない、どうしようもない人間かもしれない。でも、そんな俺でも、今、手を取って、帰りを待っててくれる人がいる」
「…嘘に決まってるわ」
「嘘じゃない。俺はもう、一人じゃない」
初めて見た、ハンナの歪んだ顔。
憎悪を剥き出しにした表情。
なのに、
「そう。なら、嘘だって証明してあげる」
一瞬にしてまた、
綻んだ笑顔に戻ったから、
ゾッとした。
そうだ。
俺は、ハンナの、この瞳が怖かったんだ。
昔から。
どうしたらいい?
「証明する…って?」
だめだ。
きっと、憎悪の対象は…。
「Aに、何するつもり?」
「あら、人聞きの悪い。私があの子に何かすると思ってるの?」
「ジンヒョンを切りつけたんでしょ。Aに手を出したら…許さない」
ふ、と笑って、
空を見上げたハンナは、
まるで歌ってるみたいに囁いた。
「ここらへんは、暗いわね、ジョングク」
「は…?」
「女のコが住むには危ないわね。刺されたり、男の人に襲われて…めちゃくちゃにされたり。あの子、可愛いから後者かもしれないわね」
可笑しそうに笑って、
俺に背を向けたハンナ。
怒りで手が震える。
「ふざ…けるなよ」
「怖い顔」
振り向いて、
また、花のように可憐に笑う。
「あなたのせいね。彼女、とってもいい子なのに可哀想。あなたのせいで、人生台無しになるのね」
「やめろ、Aに手を出すな」
「私に命令しないで」
また、俺の嫌いな冷めた目。
それから、ゆっくり近づいてきて、
俺の頬にそっとキスをした。
「あなたがあの子を解放してあげれば良いだけじゃなくって?それとも、あなたがあの子をドン底へ突き落としてあげる?それもいいかも」
「ハンナは…何がしたいの?」
「私はあなたを愛してるだけよ。じゃあ、よく考えて?金曜日、ジンのお店で待ってるわ」
“あなたのせいで、人生台無しになるのね”
“男の人に襲われて…めちゃくちゃにされたり”
Aの、屈託ない笑顔が頭を過ぎる。
そんなこと、絶対させない。
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オサナイ(プロフ) - megcokinoyama02さん» megcokinoyama02様ww読み返していただきありがとうございます!手の大きさまでww吹き出してしまいましたww楽しんで頂けて嬉しいですー^_^ (2022年11月17日 3時) (レス) id: 2a01e4e00e (このIDを非表示/違反報告)
megcokinoyama02(プロフ) - 今ですね、同居人ロスの私はもう一度作品を読み返しておるのですが、読み返してもやっばり胸がギュンとして会話のテンポが好きでグクの手の大きさまで想像できちゃって本当に本当に素晴らしい作品です。ご馳走様です!いつかネッシーTシャツが見てみたい! (2022年11月16日 23時) (レス) @page32 id: c550134bf4 (このIDを非表示/違反報告)
オサナイ(プロフ) - 凛さん» 凜様、いつもありがとうございます♡続ジミナターンです!w (2022年10月2日 2時) (レス) id: 5bc8bd2025 (このIDを非表示/違反報告)
オサナイ(プロフ) - nnonnoさん» nnonno様、いつも遊びに来てくださりありがとうございます♡変な時間に更新してすみませんw引き続き楽しんでいただけるように頑張ります♡ (2022年10月2日 2時) (レス) id: 5bc8bd2025 (このIDを非表示/違反報告)
オサナイ(プロフ) - りるさん» りる様、いつもありがとうございます♡一刻も早く壁をうさぎジャンプしてくれといいのですが←お前次第。3でも宜しくお願い致します^_^ (2022年10月2日 2時) (レス) id: 5bc8bd2025 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:オサナイ | 作成日時:2022年8月29日 17時