最低な同居人【JK】

サルベージする奴×JK ページ39

あれ。




なんで俺、こんな話してるんだろ。





こんな、ダサくてカッコ悪くて…。
恥ずかしいだけの話。






「幻滅した?好きなデザイナーがこんなんで」







あの番号が見えた瞬間、
フラッシュバックした。






夜な夜な、俺を抱きしめながら、
拒絶するハンナの言葉。






冷たい眼。





いらないって言われたあの日のこと。








暗くて、冷たい海の底に沈んでいくように、
音も感覚もどんどん消えていく中で、






今。




俺を繋ぎ止めるように、
頬を優しく包んだAが、
真っ直ぐに俺を見つめている。






温かい手の感触と、
今にも泣き出しそうな顔。





それから。






「…ッ」






なぜかすごい勢いで顔が近付いてきて







これはもう、キスするんだって





心臓が大きく爆ぜた瞬間、












ゴッ!!!







鈍い音と共に、頭蓋骨に激痛が走った。









「〜〜〜〜ッ。ちょ、いッ痛ッ!なにやってんの?!馬鹿なのマジで?!」






まさかの頭突き?!


　

そんなこと、ある?!





AもAで、声も出せないまま
俺の目の前で悶絶してたけど、





突然、ぐっと顔を上げるなり、





『ここは深海じゃない!目を覚ましなさい、バカッ!』






って、いきなり胸倉を掴まれた。








それから、今度は両手を目一杯広げて、
力強く抱きしめられた。





甘い匂いが夜風に溶けて、
一気に肺に広がる。






Aの体温。






心臓の音。










『そりゃ確かにジョングクは態度も口も悪いし、常にオラオラしてるし、バカみたいに食べるし、阿呆っぽいところもたくさんあるけど!』







「すッごい悪口」







『宿無しの私のためにルームシェアしてくれたり、痴漢から守ってくれたり、一緒に寝てくれたり、迎えに来てくれたり…アンタめちゃくちゃ優しい奴じゃない!



私、ジョングクに出会えて嬉しいと思ってる。



ジョングクが思ってる以上に私、ジョングクのこと好きだよ!』






抱きしめる力が、強くなってくのに、
片手は子供をあやすように優しく
トントンとリズムを刻む。



それが、心地よすぎて、
涙が出そうになる。






『お願い、ジョングクの価値を勝手に決めて傷つけるような人の言う事ばかり聞いて、勝手に一人にならないでよ』

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