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しばらく走り回って、
ここにいなかったら諦めようと思って
向かったあの公園に、ジョングクはいた。
ボルダリングみたいなカラフルな足場が点々とついた、青いコンクリートの山の一番上。
ぎゅって膝を抱えて丸くなった背中は、
なにかに怯えてるみたいに小さく見えて、
胸が苦しくなる。
『なに…してるの』
「……別に」
『ふーん』
「…こんな時間に出歩くなんて、アンタ本当学習能力ないね」
コンクリートの小高い山を、
一歩一歩よじのぼる。
『大丈夫、ゴリゴリのHipHop聞いてきたから』
「メンタルだけ強くなった気でいても意味ないんだよ、バカ」
いつもみたいに悪態ついてくるくせに。
なんで、そんな心細そうな声してるの。
なんだかこっちが泣きそうになる。
ジョングクが顔を上げないから、
背中合わせに座って、そっともたれかかってみた。
ジョングクは、一瞬ビクっとしたけど、
何も言わずに受け入れてくれた。
「…あんたが持ってたキーホルダー」
『え、うん』
「あれ、
『ううん、知らない』
突然、なんの話をしてるんだろう。
だけど、ジョングクが心の奥底に
大事にしまっておいたことを
話してくれてるような気がした。
「俺じゃない人が考えた、なんの捻りもない名前だけどね」
『…』
「あれ、本当はあんたが言った通り、深海じゃなくて、夜空をイメージして作ったんだよ」
『え…?ジョングクが、作ったの…?』
ジョングクが、デザイナー?
まさか。
「深海は、冷たくて、耳が痛いほど音もない、真っ暗な世界でしょ」
『…うん』
「そんなのは、好きじゃないよ。
夜空はさ、どれだけ闇が濃くてもきっと、
それを見上げてる俺以外の…
たくさんの人達と繋がってるから」
『…』
「光の届かない海の底と違う、いつか必ず朝が来て、太陽が昇る世界だから」
“だから、作ったんだ”
ジョングクが、小さな小さな声で、
まるで子供が眠りにつく前に、
そっとこぼした言葉みたいに、
優しく優しく呟いた。
『綺麗だよ、あの空。私、好きだよ』
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オサナイ(プロフ) - namiの部屋さん» namiの部屋様、嬉しいコメントありがとうございます^_^サディスティックなグクちゃんもいいですよね♡わかりみが深すぎますw (2022年9月24日 21時) (レス) id: 5bc8bd2025 (このIDを非表示/違反報告)
namiの部屋(プロフ) - まだ読んでる途中なんですけど我慢できずにコメントさせていただきました!何年もうらつく愛読してますが久しぶりに私のドストライクの小説と出会えました!!このドSグクのキャラ最高です大好きです!引き続き楽しく読ませていただきます!更新頑張ってください! (2022年9月24日 14時) (レス) @page13 id: bde19c8f5c (このIDを非表示/違反報告)
オサナイ(プロフ) - ukさん» uk様、勿体ないお言葉ありがとうございます;勿体なさすぎて焦りますwこれからも悶絶していただけるようにw、頑張って更新しますー! (2022年9月3日 11時) (レス) id: 507e311f10 (このIDを非表示/違反報告)
uk(プロフ) - て、天才なのでしょうかと何度も思いました。オサナイ様の書くグクが可愛くてかっこよくて何度悶絶したか…。続きを読むのを楽しみにしてます。 (2022年8月31日 18時) (レス) @page50 id: 1deb3068ed (このIDを非表示/違反報告)
オサナイ(プロフ) - せなさん» せな様、感想ありがとうございます♡勿体ないお言葉でございますッ。グクテテ、バチバチしてますね笑 たくさんたくさんバチバチします、これからもきっと笑 (2022年8月30日 19時) (レス) id: c4780ee8d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:オサナイ | 作成日時:2022年8月11日 19時